叔父さんと僕(オヤジ編)
エピローグ・その10
「・・気がついたのかい?」 「え・・・・?」 目を開けたら、覗き込んで見ている人達が見えた・・・。 あ、ロゼッタの人。 「急に倒れるから心配したよ」 「俺・・どうした・・・んだろう・・?」 ・・どうして倒れているんだろう・・?あれ?何か思い出したと思ったのに・・・。 大事な『何か』・・・すごく優しい暖かいモノに包まれたと思ったのに・・・、夢だったのかな・・? 「キミは大事な・・・・友人の『子供』だからね」 その言葉にはっとして、飛び起きて、何があったかを思い出す。 そうか、倒れちゃったんだ・・・。 何か、とても痛かったんだけど・・・・? あれ?ここ・・・屋上の、屋根があるところだ・・。寝かせてくれたのかな・・。 「九龍君・・・・おめでとう」 「え・・?」 おめでとう? 不思議に思って首を傾げると、おじさんが俺の右腕を掴んで持ち上げた。 「なに・・・?」 「これを見てごらん?」 言われた言葉通り、自分の右腕を見た。 バングルがいつ取られたのか、なくなってる・・・。もしかして・・・盗られた!?あれ・・・宝物なのに・・・・って思ったら、自分のお腹の上に乗せられてた。大事に手にとって握り締めてると、おじさんが唸り声を上げた。 「違う・・・こっちだ!」 「こっち・・・?――ッ!」 自分の方に突き付けられた、右腕の皮膚に浮かび上がるみたいに真っ赤な字で何か文字が書かれてた。え・・・これ・・・落書きされちゃった・・・とか・・・? びっくりした。何これ、なんて書いてあるんだろう?でも勝手に書かないでよ!バングルはずしてまで描く事ないでしょ?落書きしたかったら、その辺の壁とかにしてくれないかな・・。 「消してください」 「・・・・・・はぁ・・・」 な、なんだよ、そのため息! ムッとして睨むと、おじさんは微かに笑った・・。イヤな感じの笑い方だ・・。 「これは、秘文、だよ」 「秘文・・・?」 どこかで聞いた気がするけど・・・。 「キミの叔父さんを救うための秘宝への道標」 「え・・・・ッ!?」 叔父さんを、救うための・・・秘宝・・・? そのための・・・・道標? 「それは道標でありながら、鍵だ。キミ達が先日行った遺跡にはそれが眠っていたんだよ・・・つまりは、あの遺跡の秘宝だ」 「こ、これが・・・?」 じっと見てみたけど、何が書いてあるかわからない。 「これをキミ達3人の誰かが、宿しているのは判っていたんだが・・・やはり、キミが持っていたんだね」 「で、でも・・・今までこんなのなかった・・」 「封印をされていたんだよ・・・・」 声が急に低くなって、目つきが鋭くなった。 怖い・・・。 無意識に背後に身体を引いたら、背中が壁にぶつかった。 「怖がってるのかな・・・?ふっ・・・、安心したまえ・・・キミを傷つけるようなことはけしてしない」 「・・・・・・・」 護衛とか言ってた人達が、肩とか掴んでるから・・・逃げられない。 「・・・大事な、大事な鍵、だからね・・・」 「・・・ッ!」 手を離して欲しくて暴れたけど、凄い力で掴まれて解けない。 この人がとても恐ろしく感じて、逃げたい。 「嬉しくないのかい?叔父さんの呪いを解く方法がここにあるのに?」 だけど、その言葉に・・・、気持ちを揺り動かされた。 そうだ・・、叔父さんを助ける・・・手段なんだ、これ。 じっと自分の腕を見て、撫でてみた。 これさえあれば、叔父さんを助けるための秘宝を見つけ出せるんだ・・・。 「そうだ、呪いを解くことが出来るんだよ・・?嬉しいだろう?」 「・・・うん・・・ッ!これで・・・これさえあれば・・」 叔父さんを目覚めさせることが出来るし。 お父さんに認めてもらえるかも・・・しれない。 お父さんの子供だって、お父さんが誇れるように・・・なる・・。 コレさえ、あれば・・・。 壊れたものが・・・全部元通りに・・・なる? 「キミの望みは全て叶う」 叔父さんを元に戻せることが、望みだから・・。 叔父さんと、お父さんと、お母さん・・・、家族が仲良く過ごせることが、望みだから。 そのためなら・・・どんなことでも・・・。 「・・・でも、どうすれば・・・良いんですか?探すのはどうやったら・・」 縋り付いて、聞くと、おじさんは嬉しそうに微笑んだ。 「それを解析する、勿論・・・協力してくれるよね?九龍君」 「はい、します・・ッ!なんでも・・・する」 「く・・・・くくっ、そうかい・・・。なんでも、か・・・。良い心構えだ。ならばこちらは恩恵を授けよう」 「恩恵・・・?」 「来年、春にハンター試験を受けるのだろう?それまでキミを雇おう。解析もするが、何より・・バディとしてね」 え・・・?バディ?誰の・・・? 「ハンターを紹介しよう。色々学んで来れば良い。キミは、どうしても、ハンターになってもらわねばならないからね・・」 なんか、イヤな人かもとか、怖い人かもとか思ったけど・・・案外良い人なのかも・・。 「勿論バディとして働いた分は給料を払おう・・・・そしてもう一つ」 「もう一つ・・?」 「キミの叔父さんの件だが、それも暫くはこちらが負担しよう」 そうか、お父さんは出してくれないから・・・。 「お願いします、叔父さんを・・・見捨てないでください」 一生懸命に言ったら、おじさんは、ふっと冷たい笑いを浮かべた。 「・・・・くくッ、判ってるよ。安心したまえ。こちらも優秀なハンターを死なせるつもりはない」 良かった・・・。 「過剰に負担した分は、キミが無事にハンターになったときに、払ってもらおう・・・それでいいかな?」 「はい・・ッ!」 頷くと、掴んでいた腕を放されて立ちあがった。 「・・・・やはり水の気に弱いとは本当か・・・顔色が悪い、今日はもう戻りたまえ」 「え・・・?」 水の気って・・? 「一つだけ言っておく。その秘文は火に関係するせいか・・・水にとても弱い。水に当たれば秘文は浮き出てくる・・・それはなるべく、人目に晒さないようにしてくれ」 ええっと、水に当たるとこんな風に出てくるってことなのか・・・。 じゃぁ、お風呂のたびに見えちゃうのか。うーん、ちょっと困った。隠すの大変かも・・。 「それだけではない。水の気の近くに居れば、貧血のように倒れるそうだ・・・長時間浸かれば衰弱するらしい。気をつけてくれ」 「水の気・・?」 「待機中に水分を多く含むような状態もだ・・、雨の時などとくに注意するように」 ええっと、よく判らないけど・・・水の近くに長時間居たら危ないって事なのか・・。 そういえば、雨に当たってる今もなんだが・・・眩暈がするかも・・・。 「その秘文は狙われている、キミには護衛をつけるが注意してくれ」 「はい・・・」 護衛って、この人たちなのかな・・・? 「今のところは、この者達に任せる。明日、秘文解析後、護衛を兼ねたハンターを紹介する」 「わかりました」 頷くと、護衛の人に「後は頼む」と言い残して帰っていった。 護衛の人に追いたてられるみたいに、病室に戻ってみると、扉のところに叔父さんが倒れてた。 「叔父さん!?どうしたの?」 慌てて駆けよって抱き起こしてみる。怪我はないみたい。 誰かに放り出されたのかな?でも病室の中には誰もいないし、もしかして、寝相が悪いのかな・・・? とりあえず、ベットに戻さなきゃ・・・ッ! 「うーーーんっしょ・・・・ッ・・お、おもっ!」 それでも頑張って背負って、護衛の人にも手伝ってもらってベットに運んだら・・・・、ぎゅううぅぅぅぅと抱きしめられて解けなくなった。 護衛の人達が、外してくれようとするけど、全然力が緩まない・・・しかも手伝ってくれてる護衛の人達を蹴飛ばしたり突き飛ばしたり。本当に凄い寝相の悪さだ・・・。頼むから蹴飛ばさないでね・・? 「えっと・・・、大丈夫だから・・・」 「それでは外に待機しております」 「あ、はい・・・ありがとう・・」 狙われてるって、誰になんだろう?いまいち判らない。 秘宝は叔父さんの呪いを解くものだけじゃないのかな・・・・? 「く・・・・・・・・ろう・・・」 「叔父さん・・・・?」 顔を覗き込んでみるけど、寝てるみたい。 叔父さんは何だが苦しそうな顔をしてた。どうしたんだろう・・・? 「どこに・・・・も・・・、いくな・・・」 「うん・・・、行かないよ・・・?傍にいるよ」 呪いっていうから・・・やっぱり、イヤな夢とかみちゃうのかもしれない。 怖くないよ、傍にいるからね?って小さく言って、抱きしめられたままの腕をぽんぽんと叩いてみる。 あ、ちょっとだけ・・・・和らいだかも。良かった・・・。 叔父さんが離してくれないから、添い寝してるみたいになってる。 今日は何だか・・・眩暈もするし、頭も痛いし・・・、身体がとてもだるい。 お父さんのこともあったから・・・、怖くて眠れないと思う。だけど、こうしてたら・・安心できる。 情けないけど・・・、でも本当、考えたくない。 怖くて怖くて怖くてどうしようもないんだ。 だから、本当はダメなんだけど・・・ここで寝ちゃおう・・。 甘えちゃダメなんだって判るけど・・・、今日だけは・・・赦して欲しい。 「傍に・・・・いるから・・」 もう一度呟いてみた。だけど、本当は違う。 本当は・・『傍に居させて欲しい』なんだ・・。 「・・・・・・助けて・・」 言っちゃいけないって思ってた言葉を小さく小さく・・呟いた。 あぁ・・・・それが多分、本当の、今の自分の、言葉なんだな・・・って思ったのは、涙が溢れて止まらなくなったから。 助けなきゃいけないのに、その人に助けを求めるなんて・・。 情けないけど。甘えてると思うけど・・・。 でも、でも、でも・・。 1人なんだ、怖いんだ。 色々なことがあって、怖い。 明日からは頑張るから。 お願い、今だけで良いから・・・。 「・・・・たす・・・・け・・・・・ッ」 「九龍」 「・・・ッ!」 「九龍」 優しくて暖かくて・・・、懐かしい声。 え・・・・・?う、ウソ・・・? 「お、おじ・・・・・さん・・・?」 「九龍・・・・泣いてるのか・・?」 顔を上げて、見たいけど・・・・、ぎゅっとされてみえない。 「泣き虫だな、お前は・・・。可愛いけどな?」 「叔父さん・・・・ッ!」 寝言でも良い。何でも良い。声が聞きたい。 「大丈夫、大丈夫だ・・・、お前は独りじゃない」 ぎゅうと抱きしめられた腕がちょっと緩んで、頭を撫でられた。 もう、夢でも良い。 どうしよう・・・とても、嬉しい・・・。 お父さんのことがあってから、ずっと・・・言って欲しかったのはその言葉。 可哀想とかじゃなくて・・・。 大丈夫だって。 気休めでもいいから、信じたかったんだ・・・。 「愛してるぞ、九龍・・・・、覚えておけよ?」 「もっと・・・お願い・・もっと、言って欲しい」 「好きだぞ、九龍」 「もっと・・・」 「愛しまくってるぞ」 「足りない」 足りないんだ。全然。飽きちゃうくらい、言って欲しい。そのくらい、怖いんだ。 今までずっと叔父さんやお父さんに、くっついてきて・・・1人になったこと、なかったから・・・。 1人でいるのが、こんなに怖いなんて・・・。 「我侭でしゅねぇ〜九龍ちゃん?」 「・・・・・え?」 なんか寝言にしては、変な感じ・・・? 腕の中でどうにか身体を動かして、叔父さんと向き合うと・・・・・眼が、開いてる・・・。 「え・・・・」 「お、やっと顔を見せてくれましたね、愛する甥っ子ちゃん」 「呪い・・・解けたの・・・?」 「・・・・うんにゃ、こりゃ夢だ」 一瞬苦しんでるみたいな目をした叔父さんは、次の瞬間笑った。 いつもの・・・・今までいつも見てた、もう見られないかもって思ってた笑顔。 「夢・・・なんだ・・」 そうか、そうだよね・・・。 「叔父さんはッ、お前のことが心配で心配で心配で心配で心配でッッ!!!死にかけたぞッッ!」 ぎゅぅぅぅぅぅと抱きしめられる。うー苦しいよ〜ッ! でも、心臓の音がする。優しい音・・・。なくしたと思ってた、温もり。夢でも良い。幸せ・・・。 「また泣いてるな?何が悲しい?何故苦しんでる?叔父さんに今すぐスバッと言っちゃいなさい」 「・・・叔父さんは、俺のこと・・・・嫌い?」 そう言うと、なんか叔父さんの腕の力が抜けた。 「ど、どうしたの・・・?」 「いや・・・・・あれだけ、言いまくったのに・・・・あまりにも通じてなくてな・・・」 「え・・・?」 「あのな、お前を嫌うことなんざ、全宇宙が崩壊したとしてもありえねぇーーー!!!!」 またぎゅぅぅぅぅと締め付けられる。 「好きだ!好きだ好きだ好きだ好きだ!!!あいあいあいあいあいあいあいあいあいあいしてるぅー!!!」 最後、なんか歌ってなかった・・・? 「愛してるぜ!全部!なんでお前は俺のこの漲って溢れまくって漏れまくってる愛がわからないんだ!?」 ・・・でも、本当に・・? 「信じろぉー!」 「うん・・・」 都合の良い夢かもしれないけど・・・、信じたい・・・。 「独りじゃないって、信じたい・・・・・・・けど・・」 誰か1人で良いんだ・・・好きでいて欲しいって思う。 『心底、憎い』 「・・・・・お父さんは・・・心の底から、俺のこと・・・憎いって思うくらい・・・、嫌ってるんだって」 「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どこのパパのことですか?」 どこのパパって・・・。 「お父さん」 「・・・・・・パパ2号?悪いことは言わねぇ・・・俺だけにしとけ」 「2号・・・?お父さんは、たった1人だよ・・・。俺はもう、子供じゃないんだって・・・、関係ないって・・」 「イヤソレ、別次元のパパだろ」 「叔父さんも、憎いとか・・おも・・」 「ありえんッッッッ!!!」 「本当に・・・?」 「ほ・ん・と・う・にッッ!!!!てか・・・・そのオヤジはお前のオヤジじゃないぞ。別人28号だぞ」 「そんなことない。声、同じだった」 「顔は?ちゃんと本人を目の前にして聞いたのか?」 「・・・・声だけだったけど、後姿は見たし・・・・・・」 あの時のことを思い出すと、怖い。 また震え出しちゃって、とまらなくなった。どうしよう・・・・怖いよ、叔父さん・・・。 「声だけなんざ、誰だって真似出来るんだぞ?良いか?九龍・・・、お前の親父はお前を愛して愛して暴走気味な親ばかだぞ」 うん・・・信じたいよ・・。そうであったら、どんなに良いか。 あの言葉を・・・あんなに冷たい言葉を言った人が、違う人であればどんなに良いか・・・・。 涙が流れて、叔父さんのパジャマを濡らしていく。 ごめんなさい・・・とまらないんだ。 「・・・・・俺が、家族を壊したの・・・・は・・・ホントのことだから・・・」 「違う!壊れてない!壊れるようなものでもない!俺達の愛は鉄筋コンクリートよりも硬い!むしろダイヤモンド並!燃やすな危険!」 信じたいよ・・・。 「・・・・九龍、俺を信じてくれ。俺の言うことを信じてくれ。壊れていない。お前は今も変わらずに愛されてる」 「・・・でも・・・・・」 「九龍、信じろ。良いか?お前の父親を信じろ」 「・・・・・・」 「お前は愛されてるんだ・・・自分を信じろ」 なんだか、すごく必死。 夢なのに、おかしいな・・・。 「頼むから・・・・俺や兄貴の・・・・愛情を疑わないでくれ。お前に疑われると、凄まじく・・・痛い」 「いた・・・い?」 「苦しくて堪らないんだ・・・判るだろう?」 「うん・・・・・」 痛いよ・・・すごく。突き刺さる痛み。 「今度お前の親父のフリをした奴が出てきたら、思いきって声をかけてみろ・・・そうだな、『叔父さんの子供になる』とでも言ってみろ」 「え・・・?子供・・?」 でも、もう・・・・・俺的にはそんな感じなんだけどなぁ・・・。 「それで泣いたり怒ったり嘆いたり大慌てしたり、止めてきたら本物だ」 「・・・そんなこと・・・」 しないと思う・・・。関係ないって言ってたし・・・。 「無反応だったり、勝手にしろとか言い出したらニセモンだな、ありえねぇ」 「・・・・でも・・・」 「大丈夫だ。俺を信じろ・・・な?」 「うん・・・・」 変な夢だなァ・・・でも、なんか・・・心が軽くなった。 「お、笑顔。お前はやっぱり笑ってる方が良いな・・・・」 「叔父さん・・・夢の中に出てきてくれてありがとう・・」 「・・・・・・お前の声がずっと聞こえてた」 「え・・・」 「怖いって、助けてって声がな・・・・・、九龍。これは夢だ・・・目覚めてしまう・・だろうが」 「叔父さん・・・・・?」 「目覚めてしまっても、忘れないでくれ・・・・・お前は、愛されてるんだ」 うん・・・・。 「1人じゃない」 うん・・・・。 「頼むから・・・・無茶はしないでくれ・・・・・」 ・・・・・・どうしよう、心が、癒されていくみたいだ・・・。 夢だけど・・・、それでも、今だけは・・・・赦されたい。 「・・・・・・叔父さんの言うこと・・・信じてみるよ・・・」 「あぁ・・・・・」 優しい仕草で抱きしめられたまま、頭を撫でられて、眠くなってきた。 おかしいな、夢なのに・・・眠くなるなんて。これが夢じゃなかったら良いのに・・・・。 「俺との約束を、忘れないでくれ・・・」 「やくそく・・・?」 首を傾げて聞くと、安心したみたいに叔父さんは言った。 「・・・・そうか、封印は解けてないんだな・・・」 「封印・・・?とけ・・・たよ・・・」 叔父さんを助ける手段が、見つかったんだって続けようとして・・・。 「・・・・九龍・・・」 叔父さんが急に怒ったような固い声を出したからびっくりした。右腕を掴まれて、見られるのを茫然と眺めた。 「・・・・・・九龍、俺が呪いにかかった後のことは・・・覚えてるのか?」 「・・・ううん・・・・・・」 「・・・・無理やり解いたんだな・・・、半端に解けてやがる・・」 どうしよう・・・怖い。俺が怒らせちゃったのかな・・・?また何かしちゃったのかな・・。 「ごめんなさい・・・」 「・・ッ!違うぞ、怒ってないぞ!?」 よしよしってするように、頭を撫でられる。 その動作はとても優しくて暖かくて、多分本当に怒っていないんだなって判って・・・安心した。 「助けるからね・・・?」 安心したら、どんどん意識が落ちていくみたいで・・。 夢から覚めてしまうのかな・・、もっとこうしていたいのに・・・。 「・・・・・・・・九龍」 叔父さんが何か言おうとしてるけど、眠い・・。 「ハンターになって、絶対に・・・見つけてくるから」 「・・・・・・・・九龍・・・、なぁ、聞いてくれ」 ごめん・・・・叔父さん・・・、もう・・・意識が・・。 「・・・・おじさん・・・・、まっててね・・・、たすけるから・・・」 「九龍・・」 「ずっと、逢いたかったんだ・・・・・・うれしかった・・・」 「・・・・・俺もだ、九龍・・・・・・・・・ゆっくり、おやすみ」 うん、って返事したつもりだったけど、出来たかな・・? 久しぶりに、何も考えないで・・・暖かい腕の中で、眠りについた。 |