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あなたがわたしにくれたもの(4)

給湯室につき、椅子に丁寧におろされる。
皆守が持っていた救急箱を机の上に置く姿を何となく眺めていた。
「それじゃ、そっちの足から診るか」
「・・・お願いします・・・うぅぅ」
もう何がなんだか、混乱の極みである。
(どうしよう、色々バレちゃったよ・・学校追い出されたりしないかな・・大丈夫かなぁ・・)
皆守に、ハンターだとばれたときもパニックになって思いきり顔面からコケたくらいなのに。
今回は、明らかにマズイ。ハンターだとばれていなくても、それを理由に退学とかされたらどうしよう、と痛んできた胃を押さえる。
「痛ッ!」
「あぁ、すまない・・・」
消毒液に傷が引きつる痛みにうめいたが、痛みは一瞬で、優しい手つきで丁寧に処置を施していく。
「ううん・・・それより、上手いね」
「よく見て置けよ?処置を覚えれば、便利だからな」
「うん」
暫く無言で、それを見つめていた。
「君は左側ばかり怪我しやすいようだな」
「え?・・・あぁ、そういえば、そうかも・・・でもどうして・・・?」
「そのくらい・・・少し見てればわかるんだよ」
ずっとだまって掃除をしていた皆守がぼそりと呟く。聞いていたのかとふと思った。
「そんなに判るほど、怪我してないと思うんだけどなァ・・」
「よく左側の足で何かつまずいてこけたり、左側だけ壁にぶつかってたり、何かにぶつけるときも必ず左だったろ」
「えっ!?そうだった!?知らなかった・・・」
「それだけ、甲太郎は九龍を気にしている、ということだろう」
「・・・・・別に、そんなんじゃない」
夕薙の言葉にプイとそっぽを向きながら言う後姿を見つめた。
(気にしてくれたら嬉しいのに・・・)
「転校してきて毎日、どこかにぶつけてたら嫌でも目に入るだろ」
「まぁ・・そうだな。俺も見かけたことがあるからな」
「うぅ・・・・そんなにかぁ・・自分じゃ全然気づかなかった・・」
確かに思い返せば左側ばかり怪我をしているように思える。
「・・・俺、左目怪我して以来、こっち側だけ極端に悪いんだよね」
「怪我をしたのか?」
「うん。ちょっと・・・ね」
嫌な思い出を思い出しかけて目を閉じた。
左目の傷は、自分への戒めの傷だ。
(・・・叔父さんの『呪い』に比べたら、こんなもの・・・・)
「九龍・・?」
「・・・何でもないよ。それより次はこっちだよね?」
顔を上げて見ると、皆守も夕薙も心配をするかのような顔をしてこちらを見ていた。どこか痛ましげに見ているようで、眼を逸らした。
(そんな眼で見ないで欲しい・・・)
きっと自分は、甘えてしまう。弱いから。
(こんなんじゃダメだよな・・もっと頑張らないと・・・)
自分の目的のためには、下を向いて嘆いている暇なんてないのだから。
「えーっとジャージは脱いだほうがいい?」
「あぁ・・・」
何か言いたそうな顔をした夕薙が頷いたのを確認して上着だけ脱ぐと、皆守と夕薙の視線が気遣いを感じる視線から、妙に鋭いものへと変わった。
「・・・・・え?ど、どうしたの・・・?」
(な、なんか、怒ってるような!?)
二人は再び眼を合わせると、頷き合い、こちらへ向き直った。
「九龍、ちょっと座りなさい」
「え?夕薙・・・?座ってるけど・・?」
「甲太郎も聞いてくれ」
「あぁ」
二人を見上げると、厳しい顔をして立っていた。
(・・・・・俺なにかへましちゃったっけ・・・・?怒らせた?怒らせちゃった??)
「・・・・・・・良いか?九龍」
「あっ・・・・・」
「なんだ?」
「えっと・・・名前呼んでくれて嬉しいって言ってなかったなーって思って」
「・・・・・・ッ!?」
夕薙が突然身を引いた。何を驚いているのだろうか。
「えへへ、すごく嬉しい!あ、俺も大和って呼んでもいい?」
「・・・・・・・・・・・あぁ・・・」
「うんッ!これでもっと仲良しさんだッ!」
嬉しいな〜と喜んでいると、ふいに顔の前に手が伸びてきて。
「話を逸らすなッ!」
ビシィッと額からものすごい音が出た。避ける暇もなかった。反動で後ろに倒れ掛かるのを、テーブルを掴んで耐える。 
「いっったぁー!!何するんだよ!酷いッ!」
「お前がアホなことばかり言ってるからだろうがッ!」
「なんだとー!どの辺がアホだって言うんだー!」
「全部だ全部ッ!」
「むっきぃー!こっこのっ!」
「お前達いい加減にしないかッ!」
夕薙の静かな怒声に止まる。夕薙は厳しい顔つきで机をとんとんと叩いた。
「・・・聞いてるか?」
「は、はいッ!」
「それで、九龍。ソレだが・・・・」
「ん?ソレ??どれ?」
「ソレだ」
皆守がパイプを持つ手で、ひょいと指差してくる。
「ソレって・・・・怪我してるところだよな・・・あれ?なんか、ついてる・・」
自分で自分の鎖骨を見るのは大変だ。思いきり顎を引いて見下ろせば、皮膚の色からだいぶ離れた、どす黒いような内出血の上に、赤いものが付着している・・・ように見えた。
「見辛いなぁぁ・・・なんだろ、血?」
(でも、これ皮膚裂けてないから、血が出てるはずないしなぁ・・・)
「そっちは血だな、俺達が言いたいのは、コレだ」
夕薙が指差した部分にも、赤いものが付着していたが。
「血じゃない・・・んだよな?なんだこれ」
「触るなッ!」
「触らないと何がなんだかわからないし」
「・・・・教えてやるから、触るな」
まるでばっちいから触っちゃダメよ、とでも言うような感じで皆守が、言い含めるように言って来た。
その顔つきは物凄くしかめられていた。
「うん・・・・?で、これは何?」
「朱堂の・・・・」
皆守の顔つきが更にしかめられる。眉根の間には深い谷間が出来ている。
それを見ていた夕薙が、ため息をついて台拭き片手に続けた。
「朱堂の、口紅だな」
「シゲミちゃんの?」
言われて、あぁ、と思い出した。
(そう言えば、怪我のところをじっと見入ってたっけ・・・)
その時ついたものだろう。
「コレがどうかしたの?」
真剣になって言うほどものだろうか・・・・。
「その血は・・・・・鼻血だな・・・」
あれだけ盛大に流れていたのだ。血がついてもおかしくない。
(服についてても別にいいけど)
暢気に考えていると、再び机をとんとんと叩かれて意識を戻らされる。
「九龍・・・ここまで言ってもわからないのか?」
「何を?」
「はぁ・・・・・・・・」
思いきりため息を付かれた。皆守を横目で見ればアロマを吸いながら苦い顔をしている。
「なんだよ、一体」
少し不機嫌になって言うと、2人は再び眼と眼で会話をしてこちらに向き直った。
(・・・・・・・・なんだよ、いっつも、二人で、二人だけで分かり合っちゃってさ!)
心の中でぶつくさ文句を言ってみるけど、空しい。
「・・・いいか?・・・・世の中にはほいほいと付いて行ってはいけない類の人間が存在する」
「ほいほい?えーと、どんな?」
「主に変態とかだな・・・」
「変態・・・?カエル?」
「何故そこでカエルが出てくる!!!」
「おたまじゃくしから、カエルに変わるじゃん!」
得意げに言えば、夕薙は目線を逸らし、皆守はアロマを吸いながら視線を逸らした。
「なんだよーっ!違う・・?」
「・・・・・・・・・・・・ようするに、変質者というものだ・・九龍」
「変質者・・・あ!それは知ってる!あれだよね、全裸でコートきたサラリーマンが、がばーっと前をあけてみせたりとか」
「そ、そうだ!!それだ!」
「さすがに、これまで判らなかったらどうしようかと思ったぞ」
「失礼だな!それくらい知ってるよ!」
「それじゃぁ、変質者と朱堂がどう関係あるかは判ってるのか?」
「シゲミちゃんと??」
「・・・・お前、本気で判ってないのか?」
「シゲミちゃんは、心が女の子なだけだろ?別に変じゃないと思うんだけどなぁ・・・」
ちょっとばかり、くねくねしてたり、化粧が濃すぎて近づくと匂いが強烈だったりする以外は・・・。
「・・・・九龍、この塗料と鼻血の後が、何よりの証拠だ」
「へ?」
夕薙が急に真面目な顔をして言うので、その眼を見つめた。
「その意味を考えてくれ・・」
「う・・うん?」
夕薙は重々しく言うと、手に持った台拭きで血と塗料をぬぐってくれた。
(・・・・台拭きで・・・・か・・・意外と大雑把なんだ・・)
「・・・九龍、俺達が言いたい事はだ・・・自分の身は自分で守れってことだ」
「な、俺ちゃんと自分の身くらい守れるよ!」
おずおずと言うと、皆守はため息をつき、夕薙は呆れたような顔をした。
背後のほうで、ギャラリー達が何かを言っていた。

「そうかぁー夕薙と皆守は、おとんとおかんだったのかー」
「だよなぁ。葉佩、顔つきからして子供だしな」
「実際、1年とタメだぜ、タメ」
「じゃぁ、なんだ?この前からの噂って、皆守おかんが葉佩を叱ってたのを朱堂が誤解して?」
「あーじゃぁ今日のは、夕薙おとんが、葉佩に何かしてやろうとしてたのを、朱堂が・・?」
「なんだよ、紛らわしいな」

「おとん?おかん??・・・・お父さんは、絶対逢いに来るはずなんて・・・・・・・・ないし、お母さんがこんなとこにいるわけないし・・?」
きょろきょろと周囲を見渡すと、正面にいる二人は再び深いため息をついた。
分り合ったように頷き合う二人に、今日何度目かの面白くないものをまた感じてそっぽを向く。
(なんだよなんだよッ!二人して仲良くて良いよなッ!)
ぎゅうきゅるるぅぅぅー
突然自分の腹の音が、自分の声の変わりのように唸り声を上げた。
(わ・・・・・うぅ・・・・嫌なタイミングでなるなよなッ!俺のお腹の小人達ッ!)
「・・・・・・とりあえず、昼飯にするか」
「そうだな・・・・俺は疲れた・・・だりぃ」
(そう言えば、追いかけてきてくれたりとか・・・してたような・・)
その事に嬉しくなって、ニマニマとにやけると、ビシッとデコピンをされる。
「いったっ!」
「何を戯れてる・・・ほら、九龍、応急処置終わったぞ」
「あ、ありがとう!」
「昼飯を食べたら、保健室に連れて行くからな」
「うッ・・・・」
「まァ、怒られるだけ怒られると良いさ」
「うぅ・・・・」
以前も怪我を放置して盛大に起こられた挙句、手痛い治療を受けたことを思い出して顔を顰める。
(あぁ・・・やだなぁ・・・)
「さて、昼飯だが・・・お前も食うか?九龍」
「え?」
「昼から重いもので悪いが、ビフテキだ。良い肉を手に入れてな・・」
「食べる食べるッ!」
わーいと両手を上げて喜んでいると、隣にいた皆守がぼそりと小さな声で呟いた。
「カレーをやろうかと思ってたんだが・・・いらないんだな・・」
「えっ!?カレーも食べるよッ!?・・・・・って・・・カレー・・・・・」
はっ!と思い出して、現場へと目をやれば。床にこぼれたままのカレーがそこにはまだあった。
「・・・・誰かくれたかは知らないけど、せっかくの善意のカレーが・・・・」
拾おうと立ちあがるのを皆守に止められる。
「お前、あのカレーが食べたかったのか・・?」
「あれは俺の命だよッ!」
「――ッ!」
「あぁ・・・カレーがぁ・・・・・・うぅ・・」
(レトルトカレーはあるけど・・・今夜の夕飯にしようと思ってたのになぁ・・・あぁ・・・涙が・・・うぅ)
床のカレーを眺めて涙を思わず浮かべると、皆守がそっと、肩に手を乗せてきた。
「お前、あのカレーを、そんなに食べたかった・・・のか?」
何故だろうか。かなり真剣だ。
気圧されながらも、勢い良く何度も頷く。
「・・・ッ!」
何故か皆守は赤くなると、視線を逸らした。
(・・・・?なんだろう?)
「まぁ・・・・また入ってるさ、後で見てみるといい」
夕薙は苦笑いをしながらいうと、手早くキャベツを千切りし始めた。
「・・・・もしかしたら、今度は肉が入っているかもな」
「肉ッ!!・・・うん、でも、善意を宛てにしすぎたらダメだと思う・・・入ってたら踊って喜ぶけど」
「ははははッ、正直だな。まぁカレーや肉ばかりでは栄養が偏るな・・・野菜があればいいんだろうが・・」
「カレーも色々種類があって栄養があるって甲太郎が言ってたよな、な?」
「あぁ・・」
「ほぅ」
「ほうれん草カレーが、もぅ滅茶苦茶うまくてさぁ・・・」
「・・・・・・・・ッ」
夕薙が、くるりと振り返り、皆守を見て何故かニヤリと笑った。
同じように見ると、何故か更に赤くなっている。
「そうか、良かったな」
「うん!」
それを不思議に思いながら、夕薙に笑顔で頷く。
「カレーを入れてくれてる人見つけたら、全力でお礼を言うんだけどなァ・・・誰なんだろう・・」
「・・・・・・・・・」
「まるで、『足長おじさん』・・・・・いや、『カレーのおじさん』んか」
何気ないその言葉に、心臓が跳ねる。
「カレーのお・・・・・・・・・」
「・・・?」
「・・・・・・・どうした九龍」
「・・・・・・・えへへ・・・俺、カレーの、おじさん・・・・・・大好きだな」
(言えた・・・ッ)
直接「叔父さん」のことではないけど、その単語を口にできたことが快挙だ。
二人の優しさのお陰かもしれない。自然浮かぶ笑み。
「・・・・・本当に・・・・すごく嬉しかったんだ」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
続く無言に顔を上げると、呆然とこちらを見ている二人がいた。
「どうしたん?」
「あ・・・・いやっ・・・別に」
「あぁ・・・・」

「二人には、いつか・・・話せると良いな」
綺麗に平らげられた白い皿を見ながら、何気なしに呟いた。
「何をだ?」
「・・・・・・・・・」
正面と、横に座る二人を順番に見て、笑いかける。
「うん・・・・・・いつか、話せたら、聞いて欲しいよ」
「ふむ?よく判らないが・・・いつでも構わんぞ」
「・・・・まぁ、手が空いてたら聞いてやるさ」
真剣に頷く夕薙と、アロマを吸いながら目をそらしている皆守を見て、もう一度微笑むと、窓の外へ目をやった。
雨は何時の間にかに上がって、雲の合間から光りが差していた。
「・・・・虹でてるかな?」
「さぁな」
「見てこよっと!」
立ちあがり、窓辺へより、窓を開ける。
美しい光景に見とれながら、ふっと空を探す。
「あ、出てる!」
「あぁ、綺麗だな」
「・・・・・・・・虹ごときではしゃぐなよ、みっともないな」
そう言いながらも、窓辺により一緒に空を見上げる。
(前見たときは隣に・・・叔父さんが居たんだよなァ・・)
今はこうして友達と一緒に見ている。
(・・・・・・・叔父さん、俺はきっと負けずにいられると思う・・・)
いっぱい、色々なものを貰っている。優しさとか労わりの心とか。
(・・・・・だから、大丈夫・・・・)
頭の上に重みがして見上げると、肘を置いた皆守がこちらを見ていた。
笑いかけると、ビシッとデコピンを頂く。
痛みによろけると、肩を掴んで支えてくれるぬくもり。
見上げれば夕薙が、少し複雑そうな顔をして見下ろしていた。
笑いかけると、頭を撫でられた。
何だろうか。飛びつきたくなるほど、嬉しくなって。
二人を両腕でぎゅうっと締め付ける様に抱きしめた。
「ッ、お、オイッ!うぉッ!?」
「はははは・・・おっとッ!」
全体重をかけて抱きついたせいで、床に3人仲良く倒れ込んだ。
「あはははははッ!」
「・・・・・おまえな・・・」
「まったく・・・」
二人を下敷きにその上に腹ばいになったまま、ニヤ〜と笑いながら両手を動かした。
「おい、なんだ、この手は」
目ざとい皆守に、目的地に手が届く前に手首を掴まれた。
「え、えへへへへ〜〜〜なんだろうなぁ?」
「おっとっ!もうその手には引っかからないぞ!九龍」
もう片方の手も、捕獲されて、起き上がった二人の上から押しのけられて背後に転がった。
片手ずつ掴んでる二人も引っ張られる。
「いった・・・・・頭打った・・・」
声もなくうめいて目を開けると至近距離に二人の頭。
「これ・・・また見られたら洒落にならないな・・」
「・・・・・・・・・・・・・もう遅いかもな」
何が?と聞こうと口を開こうとしたとたん、動物のほえるような声が室内に広がった。

「キィィィィエェェェェェェーーーー!!!!!ッッッうゃちえもんぁあ!ならだしふなんそちたたなあー!?」

入り口のところに仁王立ちする朱堂が何か叫んでいる。その顔は何故か妙ににやけていた。
「ッ!!おのもきわうのンリーーダ!ッカバッッん〜〜〜〜〜やいッ!!」
またも謎の言葉を絶叫し、お尻を妙に振りながら、乙女走りで走っていった。
あっと言う間に、消えたソレを呆然と見送った。
「・・・・・・タイミングでも計ってるんじゃないか?」
「俺が知るかッ!」
「甲太郎、かりかりしても歩き出した噂はどうにもならないぞ」
「なんでお前はそんなに冷静なんだ・・・ッ!そこの奴らも、さっさと散れッ!」
またも沸いてきたギャラリーを睨みつける皆守見て。
笑いの衝動が涌き出てきて止まらなくなった。
「お前なぁ・・・」
「それにしても、何を言ってたのかさっぱりだな」
夕薙の言葉に、胸を張って答えた。
「ええーっとね、『あなたたちそんなふしだらなッ!あぁんもえちゃうー』・・・燃えちゃうってなんだろ・・火事?」
「違う。というか、あの言葉が判るのか、九龍は」
「うん!同じトコに住んでるからねー!」
そう言うと、面白いほど仰け反ったのは皆守だった。ついでにげほげごほげほっと蒸せている。
「え?甲太郎?」
「お、お、おまえ・・・・・・・やっぱり・・・・?」
「やっぱり?」
「ま・・・・まさかなのか?」
「まさかって?」
「ははははは、九龍、秘密にしておくんじゃなかったのか?」
「へ?」
「――ッ!!」
「え、ちょっとちょっとッッ!甲太郎ーどこいくんだー!?」
ダダダッと朱堂並の速さで走っていった皆守を、呆然と見送った。
「え・・・?えーっと・・秘密って?」
「同じ出身地・・・九州人、なのだろ?」
「あれ?俺言ったっけ?」
「いや、時々使うだろ?方言を」
「あぁ、なるほどー!」
「でも甲太郎、どうしたんだろ?」
「さぁな、走りたかったんだろうさ」
「元気だなぁ〜!」
「さて、俺はこの後何もすることがない。キミの内職を手伝わせてもらえないか?もちろん先に、保健室行だが・・その後で」
「え?いいの・・か?」
「あぁ」
「そうか!それじゃお願いしますッ!そのうち稼げたら、何かお礼するよ!」
「あぁ、無理はするなよ?」
「うん!ありがとう」
そう言うと、夕薙は優しげに笑ってくれた。

<終わり>

【1】 【2】 【3】 【4】

【後書き・藤夜聖(06/05/27)】
すいませんッ!また長くなりましたッ!どうすれば短く書けるようになるのだろうか・・短編を書ける人達を尊敬して止みません(泣)
さてこの話は「そっと悲しみに〜」の続編です。前回が皆守さんと仲良くなるぞ計画だったので、今回は夕薙さんの好感度UPを計ってみました・・って、夕薙版の方が長いのは何故だろうか(笑)
書いていて葉佩について語り出すと止まらない大和さんに何度も振り回されました(笑)罰九郎さんと2人して「暴走特急大和1号」だの呼んでいました(笑)全部平仮名な感想とか頂きました。そんなにあれですか・・(笑)
いやでもッ!友愛だと言い張っておきます。ナチュラルに「好きなんだ」とか告白しても話の進行上全然違和感ないですけど!(笑)
途中で「可愛いらしい」とか言うところ、あれは意図してません(笑)
書きながら「アン○ニーかよッ!」とか若い人にはわからない突込みをいれたくなりました(笑・再放送時代です・・ぎりぎり・・)今後もどう暴走するのか、ハラハラです(笑)そうそう、今回のタイトルですが(ちなみに私のの小説のタイトルはすべて懐メロ曲関連でいこうと思ってます)今回のは「プレゼント」が元ネタです。最後に貰ったものは「恋心」ではなく(だったらヤバイ)カレーと肉だった模様です(笑)
感想とか拍手とか頂けると幸いですv

【感想切望!(拍手)

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