戦場の花・後編
敵を倒した一行はそのまま駆け足でグレックミンスターを目指した。 途中襲いかかる敵に紋章を使いながら、時に逃げながら。 一行が急ぐ訳はナナミの背に抱えられたモンキであり、今は死んだように眠りについている。 あれから気を失った彼は目覚めない。紋章は淡く光ったまま。 「・・・満身創痍って感じだね」 バルカスを半分脅すような勢いでグレックミンスターにやってきた一行はトランの英雄と呼ばれ元解放軍のリーダーを勤めたレイン・マクドール邸へと駆け込んだ。出迎えたグレミオはナナミの背で荒い呼吸をするモンキを見て事情をさっし、急いで客間に寝かせた。 リュウカンを呼ぼうとするグレミオを制止、「誰も入るな」と一言言って部屋に入り込んで1時間と少し、一行は居間でお茶を飲みながら長すぎる時間を待ち耐えた。 そしてやっと出てきたレインの一言がこれである。 「レイン!俺達への感想は良い!!モンキはどうした!」 ビクトールがキレたように怒るのは当然と言えよう。それをあきれたように見て、手で落ち着けと語るとおもむろに振り向いた。 「グレミオ、僕にも紅茶。カモミールが良いな」 「坊ちゃん・・大丈夫ですか?」 「あぁ・・疲れたけどね」 「すぐに炒れてきますよ」 「頼む」 グレミオを見送るとどさっと音を立ててビクトールの隣に座り込む、さらに文句をつけようとしていたビクトールもレインらしくない仕草に言葉を飲んだ。 どんなに疲れていても、どんなに具合が悪くても礼儀・・つまり椅子に腰掛けたりする動作などは幼い頃から仕込まれただけはあってか、いつも自然と上品でそつがないのだが・・、まるで立っているのもきついと言うような座り方に以前から旧知の仲の元仲間達は唖然とする。 「おい・・なんでそんなに疲れてんだ?」 「・・・そんなにおかしいかい?」 「い、いやそういうわけじゃないけどよ・・お前がここまでヘロヘロなのは初めて見るな、と」 「僕だって人間だからね。疲れたらヘロヘロにもクタクタにもなるよ」 「レイン殿・・して、モンキ殿は?」 バレリアが見かねて声をかける。 レインが部屋に入ったとたん「満身創痍」と言ったのには意味がある。彼女をはじめ、誰もが皆身体に包帯を巻き付けているのである。治療をしたのはトウタだが、トウタ自身も腕や足を怪我している。 「モンキかい?・・・ひとまずは大丈夫だよ」 「なんだ、そりゃ?」 「・・説明したいけど・・しゃべるのも億劫なんだ・・ちょっと待って」 テーブルに顔を伏せたレインに皆が黙り込む。 1番騒ぎ出しそうなナナミはレインと入れ替わりに部屋に入って行っている。 「坊ちゃん、お茶が入りましたよ・・・・?」 グレミオが部屋の空気に首を傾げる。そしてテーブルにつっぷした主を見て慌ててお盆をテーブルに置くとどたどたと近寄った。 「坊ちゃん!どうしたんですか!!具合が悪いんですか!熊が何かしたんですか!!!!」 「・・なんだそりゃ・・」 どさぐさに熊呼ばわりされたビクトールが小声で愚痴る。 それに構わず主の肩を揺さぶり始めた。 「坊ちゃん!!!!!!!!」 「うっるさいー!」 耳元で吠えられたレインが耳を押さえながらがばりと顔を上げる。顔つきというかその目は完全に据わっている。 どうやら寝ていたようだった。 「おま・・寝てたのか?」 寝息すらこれ程近くにいたのに気づかなかった事に驚いた。 寝起きの最悪さは解放軍時代に骨の髄まで味わっている。条件反射のように逃げ腰になる自分に苦笑した。 「・・らしいね。グレミオの声で起きたけど・・」 「坊ちゃん寝るなら部屋でお休み下さいよ。グレミオ寿命が縮む思いでしたよ・・」 「・・・お茶」 「あ、はいはい。皆さんもどうぞ」 長年一緒に暮らしているグレミオには通じないので、大人しくお茶を要求する。 カモミールの香りが疲れた精神に心地よい。 「それで?モンキがどうなんだよ?」 「シーナ、話を戻すのが上手いね」 「良いだろう?そんなことより・・」 「ん~難しくは言えないけど、あの紋章はまだ欠片にすぎないんだよ。”27の真の紋章”のね」 「どういう事だ?輝く盾の紋章は27の真の紋章だって聞いてたが?」 「欠片だよ。もう一つの欠片と一つになって初めて真の紋章になるんだよ」 「つまりもう片割れがあるって事か?」 「そう。ビクトールにしては早い答えだね」 お茶を優雅に飲みながら微笑む。言われたビクトールはむっとて紅茶を一気に飲み終える。 「その片割れはどこに?」 一人落ち着いているバレリアが視線をレインに定めたまま聞く。その視線を受け止め、 「僕が言って良い事かはわからない。落ち着いたら彼に聞くと良い」 「了解した」 「・・・欠片のまま力を使えば・・命を削りとっていくんだ」 「!」 「なんだって?」 「本当なんですか!?」 一同がそれぞれに驚いた表情を浮かべる。無理もない、モンキは戦場でもその力を解放しては皆を守っているのだから。 レインはみんなに頷くと、微かにため息をついた。 「彼が運ばれてきたとき、紋章は光ってただろう?多分力を使おうとしたけれど不発だったんだろう・・。」 「不発?力が解放されなかった、という事か?」 「そう。・・片割れの紋章が本来の力を越えた力を使ったんじゃないかな・・2つの紋章はどんなに離れていても繋がっているらしいから・・」 モンキが以前言っていた。気を失って倒れたとき、必ず彼の夢を見ると。まるでその場面を見ているように、現実感伴う夢を見ると。 それを考えると無意識下で繋がっているとしか思えない。 「つまり、片割れの紋章がモンキの紋章の力を吸い取っちまったって事か?」 シーナがおもしろくなさそうに聞く。 「吸い取ってはないと思う。片割れとはいえ、紋章はその宿主に忠実・・なはずだからね」 例外も有るけれど、と思い、レインは自嘲するかのように微かに笑った。 「モンキが片割れに力を貸した、って言いたいのか?」 ビクトールには”片割れ”を持つであろう人物に予想を付けたらしい、痛々しそうに目を細めていた。 「そうだね。”貸した”というか、流出するのを受け入れた・・んだろうね」 力を求める声、もしくは気配を感じたのか・・モンキは無条件で力を貸した。無意識かもしれないが、彼ならばそうするだろう。 「その上で紋章を使おうとして不発した、ということか」 「そう言う事だね」 「そこまではわかった・・レイン殿は一体どのような治療をほどこしたのです?」 バレリアの問いに、レインは右手へと視線を走らせた。 「企業秘密・・・かな」 「なんじゃそりゃ?」 「坊ちゃん・・・」 「グレミオごちそうさま。それじゃ部屋に戻るよ」 「おいおい・・」 驚く一同にはかなげな微笑みを見せる。誰もが息を飲んだ一瞬、笑みを消すといつもの人当たりの良さそうな表情を浮かべ、トウタへ話しかけた。 「・・・あ、トウタ君」 「え?はい?」 「リュウカンは確かこの時間なら城の中の部屋にいるはずだよ」 優れた医師であるリュウカンは毎日どこかの街へと診察しに奔走している。昼間はほとんどグレックミンスターにはおらず、用事があるのならば夜を狙って行かなければならなかった。 「わかりました、ありがとうございます。今から行ってきてもご迷惑じゃないでしょうか・・?」 「直接渡さなければいけない用事だろう?それに君なら迷惑なんて事はないはずだよ」 レインは知っている。弟子のホウアンを実の息子のように、その又弟子のトウタはその子供・・つまり孫のように可愛がっていることを。 会うのは2度目だか、1度目はどさぐさで挨拶しか出来なかったリュウカンとトウタである。 が、1度会った後城へと呼ばれて訪れたレインを見つけては茶を飲みながらその可愛さを語りまくる、と言う程の溺愛しているのだ。 「ではグレミオがお供しましょうか。近いと言っても夜は何かとぶっそうですからね」 「待たれよ、グレミオ殿。私が行こう。たまには城へ顔を出さねばな」 「バレリアも行くのか?じゃ俺も行くよ」 「ありがとうございます、シーナさん、バレリアさん」 「それでは行ってくる」 「先に寝てても良いぜ~」 「行ってきます」 賑やかに出ていった3人を見送ってまだ居間に残っていたレイン、グレミオ、ビクトールはお互いちらりと目線をかわす。 「・・・グレミオお代わり」 「俺は酒な」 「じゃぁ僕も」 「坊ちゃん!!」 「お前・・いまいくつだよ?」 「さぁ?グレミオ、もう子供じゃないんだから・・良いだろう?一緒に飲もうよ」 グレミオに悲しそうな目で微笑む。この頭の固い付き人は昔からこの目には弱かった。 「・・わかりました・・前みたいに飲み過ぎないで下さいね」 「わかってるよ」 仕方ないと言うように席を立ち出ていったグレミオを見て、ビクトールが口を開いた。 「で?・・どうやったんだ?」 「何を?」 「てめぇ・・はぐらかすなよ」 「・・・紋章を通じて僕の精気を与えただけだよ」 「何故言わなかった?」 「ソウルイーターの力は逆だからだよ。僕の紋章と彼の紋章は性質が反対だ。反発し合う」 「・・・」 「彼の紋章の力は弱まっていた。反発し合う力も弱まっていた。僕が気を抜けば・・」 モンキの紋章は淡く輝いていた。それの意味するものは力の流出。気を失ってもまだ、彼は「彼に」力を貸していたのだろう。 だがそれは生命の危機を招きかねない。前にも何度か倒れたらしいが、今回のように意識を失ってもまだ力を流している訳ではなかった。 早急に彼に精気を与えなければ、いくら休んでも彼は目覚めない。それは死を意味する。 医者は無意味だった。同じくらい力の強い紋章でなければ。 部屋に入って右手同士を握り合わせ、レインは自分の精気を紋章を介してモンキに与え続けた。気を抜けば、極上の魂を有するモンキを己の中に引き込もうとするソウルイーターを押さえつけながら。 もし気を抜いて紋章が暴走すれば、レインの意志に関係なくモンキの魂を喰らうであろう。 モンキが普段どうりであれば、輝く盾の紋章が宿主を守るだろう、が今のモンキを守るほどの力すら発動出来る状態ではなかった。 もし暴走し、新しい同盟軍の結束を固める要の人物たるモンキ命を奪うことにでもなれば・・・争いはトランまで広がる。 それほど危険な治療なだけに、グレミオを初めとする他の皆に話したくはなかったのだ。 また同じ事が起きれば、その時はルックやレックナートがいる。 今回は緊急応急措置という事なだけだ。 「結果さえ良ければいい。今回はたまたま僕が近くにいただけだ・・・だから別に言うべき事でもないだろう」 「・・・ありがとよ」 「?ビクトール?」 思わぬ言葉にレインは目を見開いてビクトールの目を見た。 「あいつを助けてくれた、その礼だ」 「・・・どういたしまして」 レインはビクトールの気持ちに上辺で見せる笑顔ではなく、心の底から浮かべる微笑みを浮かべて、笑った。 しばらくして入ってきたグレミオは何故2人がこれ程朗らかに笑っているのだろうと首を傾げたという。 そしてそのまま居間の明かりが落とされることはなかった。 夜もふけ、夜の街は昼と違った様相をかもしだしていた。 城からマクドール邸への道は街の中心地を通るため飲み屋や宿屋などが多い、噴水の所まで来ればカップルが2人の世界へと入り込んでいるものも見れた。 「トウタ殿はよくおやすみだな」 シーナの背に抱えられているトウタはすやすやと心地よい眠りの中にいた。 城へ赴いた時間は夕食を少し過ぎた時間・・つまり9時頃であった。今は夜中の12時過ぎ、子供の活動時間はとっくに過ぎている。3時間あまりリュウカンから解放させてもらえず、眠さをこらえて会話をしていた。 11時過ぎになると船をこぎ始めたが、それでも嬉しそうに話すリュウカンの話を聞いていたトウタは子供ながらに根性あるな、とシーナは思った。 「しかしあのじいさんの弟子莫迦ぶりには呆れるな」 「まぁ、そう言うな。師弟というものは親子の関係に似ているからな。弟子のまた弟子であるトウタ殿は可愛い弟子とともに、孫のようなものなのだろう」 「そうだろうけどなぁ・・あのじいさんの浮かれぶりはすごすぎだぜ・・」 「まぁ、そう言うな。まぁ私も甘いものは苦手で・・あれはちょっと苦しかったが」 リュウカンは大の酒好きであるが、まさか11歳の子供と酒盛りをやる訳にはいかず、酒ではなくジュースにリュウカン自身も好きである羊羹やまんじゅうなどでトウタをもてなした。 その付き人としてやってきたシーナとバレリアは城への顔出しを終わらせた後、甘いお菓子の匂いに胸焼けを催しながらまるで祖父と孫のような2人の話に付き合っていたのだった。 「俺、餡子だめなんだよなぁ・・甘ったるくて」 「意外だな。お前は甘いものが好きそうに思えたが?」 「ケーキとか・・洋食のお菓子かな?それは好きなんだが・・和風のお菓子はどうも苦手だ」 「その割には女の子をくどくときに一緒に食べてただろう?」 「うっ!・・ば、バレリア・・俺の本命はっ」 「私のことは女扱いしないで貰おう。これでもトランの将軍だからな」 そう言って彼女は月を見上げた。満月とは言えないが、おぼろげな光を放っていた。 「・・・・女の子じゃん」 ぼそりとシーナが呟いた。歩みを止める。 聞き慣れない言葉に驚いて振り向いたバレリアとシーナの目と目が合った。 「っ・・お、お前はっ!だ、誰にでも言ってるんだろう!?」 「女の子と話してるのは楽しいし華やかだし好きだ。だけど・・誰にでも本気では言わない」 「ーーーな、何をっ!」 「バレリアは俺より強い。だけど・・俺はあんたを守れるくらい強くなるよ。・・だから他の女の子もかばうんだ、あんたをかばえるくらい強くなるには他の子くらいかばえないと・・ダメだろう?」 「・・・・」 「誰よりも気高くて誇り高くて、綺麗で・・優しい」 「え?」 「あんたは女らしい女の子だよ、バレリア」 「な!!冗談もっ!!」 月明かりでもわかるくらい顔を赤くして、今にも剣を抜きそうな勢いのバレリアに内心ため息をついた。 彼女は自分をわかっていない・・。 今胸の内を証したとしても、彼女は冗談としか受け取らないだろう。 それでも良い。自分が強くなっていくように、徐々に彼女の心の中に自分を刻み込んでいきたい。まぁ誤解を解くのが先決だが。 「トウタが起きるぜ?バレリア」 「っ!!!早く帰るぞ!!!」 顔を真っ赤にさせ、けれど羞恥と怒りに耐えた彼女は足音荒くマクドール邸へと歩いていった。 その後ろ姿を追いながら、 「可愛いなぁ・・」 と微かにけれど嬉しそうに微笑んだ。 背中の幼子はそれに気づくはずもなく、すやすやと眠りについたままであった。 「うおぉ~~頭いてぇ・・」 「・・・ビクトールうるさい・・うるさいって!うるさい~!!!!!」 「おい・・お前の方がうるせー・・何も言ってないだろうが・・・あたた響く・・」 「・・・何も言ってなくてもいるだけでうるさいんだ!・・たぁ~~あたた・・」 なにげにひどいセリフをさらりと言ってのけるレインをいさめるべき保護者はここには居ない。 昨夜遅くまで浴びるように飲んでしまったビクトールとレインに付き合わされたグレミオはあまりの二日酔いにベットの住人となったままであった。 必然朝ご飯はグレミオ意外の誰か・・と言う事になるが、グレミオ意外の家人は出払っておりバレリアはナナミ程ではないが料理は作れず・・・こういう時に必ず自分が作ると宣言しそうな必殺料理人ナナミは一晩中看病していたのか今は眠っている。 『今日は朝ご飯ないのか~』と誰もがぐるぐるなるお腹を抱え、外にでも食べに行こうかと考えたとき、意外な人物が「作るよ」と宣言した。 半信半疑で居間で待っている間のやりとりがこれである。 「・・・そこまで飲むからだ」 「バレリア・・きつい事言うね・・」 「レイン殿がこれ程酒癖がわるいとは初耳であった」 「俺もレインが沈没してる姿を初めてみたぜ」 「大丈夫ですか?二日酔いの薬は僕まだ作れなくて・・・お水かおみそ汁を沢山飲むといいそうですよ」 シーナとバレリアは呆れ返り、トウタは医者の卵としての習性か自業自得の2人を気遣うように小声で話す。 「・・・そうなのか・・でもさすがに・・おみそ汁は・・」 「モンキに作れるか?」 そう意外な人物とは皆が朝食について話し合っていたときに起き出してきたモンキであった。 顔色も良く、元気に朝ご飯を作ります、と宣言をして台所へこもってしまった。 やがて空腹を刺激するような香りが漂ってきた。トウタが何も言わずに一人駆けだしていった。 「お待ちしました~」 とドアを開けながらお盆を片手に入ってきたのはモンキで、その後ろに両手でおにぎりやおかずが沢山のったお盆を抱えたトウタが入ってきた。まだあるよ、と笑うモンキを見てバレリアとシーナが台所まで取りに向かう。 数分後朝の食卓を温かいごちそうで飾られた。 「いただきます」 「よっしゃ!食うぜぇ・・ったた・・」 「う、上手い!!」 誰もが食べ初めて一言目が「うまい!」もしくは無言で頬張る。 あのナナミの義弟なのに、何故これ程上手いんだと皆口には出さない疑問すら生まれる。モンキはそれを見て笑う。 「・・・おいしいよ、モンキ」 さすがに作れないだろうと予想していたおみそ汁を1番にすすったレインは一言目の前に座るモンキに言った。子供の頃からグレミオの手料理を食べてきたレインは舌が肥えていて、そのレインに一言で上手いと言わせるほど、モンキの腕前は凄かった。 「僕ずっとナナミの作った料理を食べてきて・・生きるために教えて貰ったりしたんです・・」 「苦労したんだね」 「それは・・大変だったんですね、モンキ殿」 「お前よく舌が壊れなかったな」 「・・・泣かせるじゃねぇか・・」 誰もが(一人酔いが残っているためにむせび泣いてる熊がいるが)モンキの苦労に心から同情した。 ナナミの料理をまだ食べた事がないが(熊はあるが)その武勇伝もとい恐慌伝は有名で同盟軍内にとどまらずハイランド、トランまで知れ渡っているほどだ。 一度食べてみたいという一部のマニア(もしくは変態)も存在するらしいが、それほど語り継がれる料理を食べ続けてそれでも健やかに成長しているモンキと、「生きるために料理を習った」という言葉に一同は心からモンキを尊敬した。 穏やかな食事の後、緑茶をすすりながらレインは隣に座るモンキに聞いた。 「それでこちらへは何日くらい滞在するつもりなんだい?」 レインはすでに二日酔いを克服していた。ビクトールはというと、ソファに一人寝そべってトウタから冷たいタオルを受け取っていた。 ビクトールの方を心配そうに眺めていたモンキは、レインに視線を移す。 「・・・・何日か滞在して良いって・・言われてるけど・・」 「・・・・けど?」 「2、3日お世話になったら、立とうと思ってます・・。城が、気になるから・・」 笑顔を消して俯くモンキをレインはじっと眺める。 「・・・・うん。判った。それじゃゆっくりしていると良いよ」 「ありがとう」 3日間の日程はゆっくりと何事もなく過ぎ去った。 そして物語は嵐の中へと続くのである・・・。 |