長編幕間
〜HAPPY BIRTHDAY!〜
(8)
「・・・いやぁ・・素晴らしい」 「あー・・・お前たち・・」 「なッ!?」 「え?サラ?大和!?」 声をかけたとたん、甲太郎と九龍は物凄い勢いでこちらを向いた。 よくやくこちらの存在に気づいたらしい2人に、悟られないように深々とため息をついた。 「やぁ、おはよう九龍。朝っぱらからすまないな・・おや、顔が真っ赤だがどうかしたのかね?」 サラ・・昨日病院で出会ったロゼッタ協会の九龍つきの情報管理官という女性は白々しく言い放つ。 (・・・最初から見ていたくせに、よく言うものだ・・) サラがやって来たのは九龍が日課の水をやりに庭に出てすぐだった。 この家はセキュリティが高いので、勝手に侵入することは出来ない。家人に中から開けてもらうか、鍵を使うしかない。 折り目正しく玄関から訪ねてきたサラを見て、九龍を呼びに行こうとすると止められた。 朝から驚かせてやりたいと目を輝かせて言うサラに『ほどほどにな』と告げ、朝食の準備をしていたら呼ばれたのだ。鼻息も荒く。 おかげで朝食はまだ出来ていない。飯は炊けているから簡単におにぎりにでもするか・・、とあえて目の前の出来事から意識をそらした。 「い、いまのッ・・・き、き・・・聞いてたッ!?」 (九龍・・慌て過ぎだ) 九龍は真っ赤になったまま両手をばたつかせる。 「ふっ・・聞かれると恥ずかしいのかな・・?」 「そ、そんなことないッ」 (九龍、バレバレだ・・) 恥ずかしいと素直に認めきれなくなった辺りは成長したのだろうが・・・。 ふと、視線を感じ見上げるとベランダのへりに肘をついて、物凄い形相で『苦虫を潰したような』という表現が当てはまり過ぎる表情をした甲太郎がこちらを睨みつけていた。 「・・・いつから見てた」 「さぁな」 答えたくない、が本音だ。見たくて見ていたわけではない、主犯はサラだ。 見なくていいのなら、見なかった。 「最初からか・・」 「どうだろうな」 「大和ッ!」 「・・・ふぅ、やれやれ・・照れるのは分かるが恥ずかしいからといって誤魔化すためにあたるのはやめてくれ」 「なッ!」 図星を指してやると案の定言葉に詰まった甲太郎へ苦笑で答え、視線を九龍に向けた。 「大和も、見てた・・?」 「まぁ見てのとおり、だな」 「・・・・大和、あの・・」 「ん?」 真っ赤になって慌てるかと思えばそうではなく、九龍はバツが悪いといったような表情をし俯いた。 「九龍?」 「大和もだから!」 急に顔をあげて大きな声で言われ、勢いにのまれ1歩下がる。 「俺も・・?」 「や・・・大和も、大和ともッ・・・一緒に」 ぐいっと上着の裾を掴まれる。その表情は真剣だった。 「ずっと一緒に・・・居たいよ」 「九龍・・」 (俺のことも考えてくれたのか・・) 九龍のバディになったのは、『呪い』という名の病を治す手段になるかもしれないと言われたからだ。 本来なら、あの日・・あの学園の屋上で語ったように約束を胸に抱き、それを支えに、この忌々しい身体を治す手段を求めてどこかの空の下に居ただろう。 ―――いつの日か、大切な友の助けに行く日を夢見ながら・・。 「あぁ・・、俺もだ。こうして共にあり、こうして手を貸せる場所に居ることを幸せに思うよ」 裾を握りしめる手を取り柔らかく握ると、冷たくなった体温を感じた。 「大和・・」 「あーゴホンゴホン」 「・・・・アロマがうまいぜ・・」 「あ・・ッ!え、えっと・・・おはよう、サラ。どうしてこんなに早くに来たの?」 大和に手を握られたままサラの方を見ると、サラはとても嬉しそうだった。 九龍はそれを見て内心安堵した。妙な顔をされていたら恥ずかしくて穴を掘ってしまいそうだったから。 「あぁ、君に急用でな」 「急用?」 「そうなんだが・・・その前に、おめでとう」 「え!?な、何が・・?」 「勿論バディの件だ・・。まぁ夕薙と皆守との仲を祝福してもいいのだが・・正直妬けるからな」 「祝福?よくわからないけど、ありがとう」 お礼を言った途端、頭の上の方と真横から大きなため息が聞こえた。 「・・・・?」 「九龍・・、君は本当に素直だな」 「素直というか、バカというか・・」 「バカ正直って言うんだろ・・」 サラ、大和、甲太郎に続けさまに言われてムッとする。 「バ、バカって・・言いすぎッ」 「私はバカとは言ってなぞ」 「え、あ・・そうか」 「ふふっ、それよりもあまり気は進まないが用件を述べるとしようか・・時間もないことだしな」 サラはふと腕時計を見て、表情を引き締めた。 「うん」 同じように気を引き締める。 「ハンター葉佩九龍。君への緊急要請だ。これを聞いた直後速やかに準備し急行してくれ。なお、どんな理由があろうとも拒否は受け付けない」 「穏やかじゃないな」 大和の言葉に頷いて、サラに視線を戻す。 「この任務には期限がある。期限までに任務を達成出来なければ失敗になるので心してくれ」 「期限?」 「・・・15日になるまで、だ」 「え?今日13日だよね・・。ちょっと、明日までってこと!?」 驚いた。そんな緊急の任務なんて初めてだったから。 サラは静かに頷いて、視線を落とした。何故か、言いたくなさそうな様子に不思議に思う。 「サラ・・?」 「気にしないでくれ・・。それで場所だが・・、あの場所だ、九龍」 「あの場所?」 「君と君の叔父と君の父親で行った遺跡だ。あの場所へ再び向かってくれ」 「あそこ・・に?」 ドン!と心の中に思った以上の衝撃を受けた。 心臓が―――軋む。 指先も身体も震える。全身が震えていると自覚する。 心臓の音がやけに響いてくる。 (あそこに・・・また行くんだ・・) 「必要な荷物や装備品は用意できるものは用意してきた。現地へはヘリで行くことになる」 「・・・わかり・・ました」 「九龍、大丈夫か?」 肩の上にそっと手を置かれて、暖かい手の持ち主を見上げた。 「大和・・、うん大丈夫」 「そうか」 無理やり笑ってみたけど、きっと笑えていないだろう。 自分でも不思議になるくらいこわばっている。 (あぁ・・・俺、怖いんだ・・) いつかはあの遺跡に再び行くことになるのは分かっていた。 あの遺跡はまだ『生きて』いる。最奥の大広間は鍵で再び封印されたらしいし、あの時持ち帰った情報で別の区間があることが判明したらしい。 (きっと、あそこに・・呪いを解くことができるヒントが落ちてると思うし・・) 手かがりを求めていつか行くだろうとは思っていた。 こんなにも早く、しかも急いで行かねばならないなんて想像してなかった。 「・・おい、おいッ!」 「え・・?甲太郎?」 頭の上から降ってきた声に見上げると甲太郎が渋い顔をしてこっちを見下ろしていた。 「・・お前じゃない、そっちの・・あんただ」 「私か?私のことはサラと呼び捨ててくれ。自己紹介はまだだったな。私はサラ。ちなみにH.A.N.Tの中の人間だ」 「そんなものはどうでもいい。聞きたいのは一つだ」 「何かな?皆守甲太郎」 「何故期限が限定されてる?15日まで、という期日はどんな理由で決められたんだ?」 「さぁな・・機密事項、だそうだ」 「ということは、あんたも聞いた口か」 「そうだ。あぁ言っておくが私は何があろうと九龍の味方だ」 「・・・別に聞いてない」 「ふっ、警戒心バリバリだったくせによく言う」 「警戒心・・?」 よく分らないやり取りに首をかしげ、肩に手を置いたままの大和を見上げると難しそうな顔をしていた。 「君には大まかな予測は出来ているのだろう?何故15日までなのか」 「大和・・?」 大和の言葉にサラは頷いた。 (何か理由がある・・?) 確かにあまりにも急な任務だ。不自然といえばそうだ。 あまりにも時間がなさすぎる。 「どういうこと・・?」 「君の誕生日だろう・・15日は。晴れて17歳になるんだったな」 「え?あぁ、うんそうだけど」 サラの言葉にうなずくけれど、意味が全く分からない。 「歳が関係あるのか?」 「へ?こ、甲太郎?」 「なるほどな・・俺も大まかなことしか《秘文》については聞いていないが。《秘文》と呼ばれる鍵を宿す器の年齢が肝なのか・・」 「大和・・?」 甲太郎と大和には話が通じているらしい。飛び交う話はほとんど訳が分らない。 (歳・・・?《秘文》・・?) さかんに首をかしげてると、すぐ隣で大きなため息をつかれた。 「・・・うぅ」 「あぁすまん。つい、な・・」 「つい、って・・」 じっとりと睨むと、大和は腹が立つくらい爽やかに笑った。 「詳しいことは、朝食でも食べながら話すとしよう」 朝食、という言葉にお腹が減ったことを自覚する。 「うん!そうしようッ!」 「ふふ、私も御馳走になるとするか」 「はは、量だけはあるからな・・思う存分食べていってくれ」 楽しげに家に入っていく2人を見送り、さっきから黙ってこちらを見ている甲太郎を見上げた。 「甲太郎」 「なんだよ」 「・・・これからも、よろしくな!」 「仕方ないな・・言っておくが、あくまでついで、だからな」 「へへッ!わかってるって!」 嬉しくて笑うと、嫌そうな顔つきをしていた甲太郎がやがて微笑みを浮かべた。 「九龍・・、お前俺の荷物勝手に触っただろ」 「え!?な、なんのことかなー!?」 「隠すならもっとバレないようにしろ。・・・あれはお前の特注品か?」 「うん・・その、どうだった?」 「まぁ、悪くないな」 「ホント!?」 良かった、と嬉しくて笑った。 手渡すのが恥ずかしくて、こっそり甲太郎の荷物に突っ込んでおいたプレゼントは無事に受け取ってもらえたようで安心もした。 プレゼントの中身は軽量でデザインが格好良いアロマパイプ、もう一つはバディに誘うぞ!という気合いを込めて注文した探索用のブーツだった。 「・・・喜んでくれた?」 「さぁな」 「素直じゃないなぁ・・」 まぁ素直に言われたらそれはそれで、天気の心配をしてしまうけどね、と笑って言うと、「このバカが!」と言う声とともに何かが頭にぶつかる。 「いたッ!」 「・・・・さて、飯でも食うか」 素気ない声がしてガラガラピシャンと2階のベランダの窓が閉められた。中に入ったらしい。 「なんか痛かったけど、一体あいつ、何投げたんだッ!」 怒りながら見渡すと、何か小さいものが転がっていた。 「・・・・なにこれ・・?」 拾ったものは明るい黄色のラッピングがされた袋だった。 もしかして・・。 「もしかして・・?プレゼント・・とか!?」 (えええ、甲太郎が、俺にッ!?) 覚えていてくれたことに驚くし、前もって準備しててくれたことにも驚いて、丁寧に封をはがす。 「・・これ・・」 『安全祈願』と書かれたお守りと、萌黄色のメガネケースだった。 メガネケースは天香に居た時代に踏んで壊したものを、買いなおすお金がないのでそのまま使っていた。 (そのこと・・覚えててくれたんだ・・) 「嬉しい・・」 大事にそれを胸に抱きしめて、春の青空を見上げた。 誕生日はまだ少し早いけれど、今までで一番幸せな誕生日だった。 【1章に続く】 //////////////////////////////////////////////////////////// <恒例のおまけ> 「よっと」 旨い具合に焼けたベーゴンとほうれん草を皿に移し、続けて手早く味噌汁の具を入れ煮込む。 「あとは・・卵を茹でるとするかな」 卵はサラダにしても良い、そのまま添えても良いだろう。今日は和食風の朝食だから生卵でも良いのだが・・・。 偏食で好き嫌いの多い子供・・相棒である《宝探し屋》―――九龍にバランスのとれた食事をさせることを心がけているので、どうしても選択肢の幅は広がる。 「サラダにして、トマトも食べさせるか・・」 冷蔵庫を開き、そう決めると瑞々しいトマトを手に取り冷たい水で洗う。 まだ4月の朝は寒い。水も真冬並みとまではいかないが冷たく感じる。 「夕薙」 「ん?」 抑えた小さな声を拾い、声がした方を向くとそこには先ほど訪ねてきたばかりのサラが居た。 彼女は勝手口を小さく開き、そこから顔を出して手招いていた。 こいこい、と手招くその顔は無表情ではなく、ニヤっと妙な笑顔を浮かべている。 「なんだ?」 「しッ!良いから君も来てくれ・・・面白いものが見られそうだ」 「はぁ?」 ガスの火を止め、トマトを水に浸けたまま彼女の後について外に出た。 「一体なんだ・・?」 「しッ!静かに!標的に気づかれてはならない・・静かにこの壁に張り付いて見てくれ」 彼女はそう言うと、壁にべったりと張り付き座り込む。そのままそっと庭のある方を伺っている。 (庭には・・九龍がいるはずだが・・?) 九龍を見てるのか?と疑問に思いながら立ったまま同じように庭を伺うと、声が聞こえてきた。九龍だ。 『・・・3人で、お弁当とか持ってさ・・行かない?』 必死に2階のベランダに向かって言う姿が目に入り眉をひそめた。 すっと2階に視線を移せば、予想通り甲太郎の姿が目に入る。 「・・・デバガメか」 「先程から楽しい会話をしていてな。君にも是非聞かせてあげたいと思ったのだよ」 「・・感心しないな」 「何を言う。九龍が大事だろう?だからこそ見守りたいという気持ちもあるだろう?」 「ない、とは言わないが・・」 視線を九龍に移すと青ざめた顔色をして茫然としていた。 サラと会話しながらも、甲太郎と九龍のやり取りを拾っていた自分は、サラの言うとおり気にしているのだろうが・・。 『で、でも・・ッ!』 九龍の内心の動揺は見てわかり過ぎるくらい現われているのに対して、甲太郎は飄々としていた。 「どう思われます?解説の夕薙さん」 「なんだそれは」 「私のことは、ナレータ・サラとでも呼んでくれ。今の九龍は明らかに動揺してますね。見てください、あの表情。憂いの表情です。確保」 パシャとデジカメで撮影するサラの旋毛を見下ろして深々とため息をついた。 「用意が良いな」 「ふッ・・情報担当官として当然の装備だ。おっと・・?」 『俺に何か言いたいこと、あるんじゃないのか』 「・・・・どうだ?夕薙解説員」 「どう、と言われてもな・・」 決まっている。面白いはずがない。 昨晩遅く甲太郎が部屋に訪ねてきた。何かある、と確証はないが悟ったらしい甲太郎から問われ、思わず言ってしまったのだ。 『九龍は今でもお前をバディにと望んでいる』と。無駄に聡い甲太郎は気づいたんだろう。 それなら何故、言いだせないのかということに。 言いだせない理由はいくつかあるのだろう。危険な目にあわせたくないとか、巻き込みたくないとか。 事実、秘宝の夜明けの襲撃の時、九龍は自分のせいだと責めていた。その後学園を去り、卒業式にも顔を出さなかった。 誰かを傷つけてしまうことに怖れ、怯えている。 バディに誘う事を阻んでいる理由の一つは明らかにこれだろう。 もう一つは・・。 『甲太郎ッ!』 「おぉジュリエット!君は何て罪深い人なんだ」 「サラ・・なんだ、それは」 気が抜け、思考を中断しサラを見る。嬉々としてデジカメを構えたままだった。 「今の二人の構図は何かに似てると思っていたんだが、ロミオとジュリエットの有名なシーンに似てると気付いてな」 「・・・・ロミオは分かるが、あれがジュリエットは・・・想像したくないな」 (だいたい、どんな尊大なジュリエットだ。腕を組みアロマを吹かすジュリエットなど認めない) 甲太郎の言い草を聞きながら内心感じる腹立ちを抑える。 イライラとした言いざまはサラにも伝わったらしい。 「夕薙解説員。私もだ」 「何がだ?」 「あの言い草は腹が立つ」 「・・・そうか」 「ジュリエットはセコイな。自分が歩み寄れるラインを見せて、後はロミオが手に取るのを待つのみだ。セコイだろうあれは」 「・・・そうだな」 『お前が望むなら、俺自身の《未来》を探す旅路のついでに、ついて来てやってもいい』 「聞いたか!?」 「・・・あぁ」 「なんだあれはッ!」 「落ち着け・・・気持ちは分かるが」 (甲太郎らしいといえば、らしいが・・。もう少し自分から歩み寄っても良いだろう・・) 九龍へ目を向けると、無言で何かを想っている姿が見えた。 表情が今にも泣き出しそうで、どうしていいか迷っている姿は迷い子のようだった。 「九龍・・」 「私ならば」 「・・・?」 「私ならば、九龍にあんな顔はさせない」 「あぁ・・そうだな」 (だが、甲太郎はそれを平気でさせる奴なんだ・・) 天香遺跡崩壊時、九龍が必死に遺跡と共に死に行こうとしていた甲太郎と亜門に手を伸ばし助けようとしていた事を思い出す。 (あの時と変わらないままだ、あいつは・・) 九龍はそれを受け入れてしまう。その事にも腹立だしく思う。 「・・・あっ」 サラの声に九龍たちに目を向ける。 九龍は片手をそっと2階に向けていた。手を伸ばしている。 『俺が守るから・・絶対に危ない目にあわせないように全力で頑張るから―――』 九龍のその表情を見ころがあると思った。。 あんな風に純粋に、一人だけに向けられた笑顔。 太陽のように眩しく春風のように柔らかい笑顔で、九龍は言った。 『苦労かけちゃうと思うけど、一緒に来てください・・・一緒に、いちゃ、だめかな・・?』 何気ない言葉に隠された決意。 (―――あぁ・・覚えがある・・と思えば・・) 九龍に協力を申し出た時の表情と被るのだ。あの時も九龍はこんな風に微笑んで手を伸ばしていた。 自分だけではない、解放した役員や執行委員、そしてあの遺跡崩壊後に甲太郎と亜門にも向けられた笑顔。 「九龍・・」 声をかけよう、とする寸前、甲太郎の返事が耳にはいる。 『・・仕方ないな・・あんまり苦労はかけるなよ。面倒だからな』 「・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・」 「夕薙」 「なんだ」 「今の言葉をどう解説する」 「してやったりという表情だな、甲太郎は」 「やっぱりか」 「あぁ・・九龍は尻尾があれば振りまくってそうだ・・」 「それは可愛いから許可する」 「・・・邪魔するか」 「そうしよう」 「・・・イヤァ、素晴ラシイ」 空々しさがこの上なく胡散臭い。拍手まで何やら空虚だ。彼女のことは何も知らないがその今まで見てました感を隠そうともしないふてぶてしさに拍手喝采を与えたくなるから不思議だ。 (あそこまでは無理だな・・) 「あー・・・お前たち・・」 無難な言葉を舌にのせながら、姿を現した。 「なッ!?・・・・ちッ」 「え?サラ?大和!?」 九龍は純粋に驚いたが・・甲太郎は・・。 (舌打ちしただろ・・だが、精々これからも邪魔してやるよ。甲太郎・・覚悟するんだな) 甲太郎へ向かい笑いかけた。 【おまけ終わり】 |