「見つけたわよダーリーンッ!!!」 「げッ!?」 「チッ・・・もうきやがったか」 「さっきから聞いていれば二人してアタシの前でいちゃいちゃとちちくりあってくれちゃって!?キィィィッ!茂美ジェラスィ~ッ!!」 「い、いちゃいちゃ?」 「どこをどう見たらそうなるんだ・・・」 「オーホホホホッ!でもアタシが一番乗りみたいね~?さぁダーリンッご褒美にこのアタシに熱いベーゼをちょうだいッ」 「ちょっ!?茂美ちゃんやめ!?」 「いただきまーすッ」 「・・・ッ」 (ドゴォォォォォッ!) 「ぐほぁッ!?」 「チッ・・・やはり地球外生命体はこれくらいじゃ死なないか?」 「み、皆守サン?」 「おい、先へ進むぞ」 「え?でも俺武器何も持ってな・・・」 「さっき手に入れたヤツがあるだろう。それでも持ってろ」 「・・・木の棒?」 「皆守ッ!どこまでいくんだよ?」 「あぁ?魂の井戸に決まってるだろう。一晩過ごすならそこが一番安全だからな」 「って俺木の棒じゃ戦えないんですけど!?」 「あぁ、お前が戦う必要はないぞ」 「へ?」 (ドガァァァッ!) (ドゴォォォッ!) (キシャァァァッ!?) 「・・・ッ(絶句)」 「・・・まぁこんなもんか、行くぞ」 「ちょちょちょちょっと待て皆守ッ!?」 「なんだよ」 「お前そのすんごいある意味卑怯なスキルは一体何事!?そんなもんいつのまに使えるようになったんだ!?」 「卑怯ってなぁ・・・まぁそんなことはどうでもいい。どちらにせよ今のお前じゃ使えないスキルだしな」 「何だよそれ!?今の俺には使えない?」 「それが仕様ってもんだ。ほら行くぞ」 「あッ!待てよ皆守!仕様って何なんだよ~!?」 「・・・はぁ」 「やっと着いたか。ふわぁ~・・・眠い」 「・・・(一番層の浅いエリアとはいえ、全部一撃で倒すなんてこいつホントに一般人なのか?)」 「まさか遺跡の仕掛けまで復活してるとはな・・・八千穂の呪いか?」 「そんな馬鹿な」 「まぁいい。それで原因はわかりそうなのか?」 「う~ん・・・これかなぁってやつはあるんだけどね・・・ってうわぁッ!?」 「今度はなんだよ」 「・・・原因がワカリマシタ」 「あぁ?」 「どうやらロードしたデータの中にウィルスが入ってたみたい?」 「なんで疑問系なんだよ・・・で、そのロードしたデータとやらは何なんだ?」 「これ・・・」 「何だ?『電撃特製すぺしゃるでーた』?」 「うん、協会からサンプルで送られてきて試しにやってみたんだけど・・・」 「で、具体的にはどんなデータなんだ?」 「え?・・・まぁいいじゃないか!原因はわかったんだし」 「・・・何か隠してやがるな」 「ぎくっ!」 「・・・貸せッ」 「あッちょっと!」 「・・・『バディの信頼をなかなか得られなくて寂しい日々を過ごしている、そんなあなたに朗報!このデータを用いればたちまちあなたも人気者のモテモテに大変身!これで大好きな彼や憧れの彼女と甘~い一時を過ごすことができます。今回は特別に恋人達の一大イベント《クリスマスイブ》を体感できる特別仕様。さぁ!あなたもこのデータで素敵で楽しいハンターライフを送りましょう!』って何だこれは!?」 「あはははは~・・・」 「お前なぁ・・・こんなあからさまに怪しいデータをロードするやつがあるか」 「いや~面白そうだったんで、つい・・・」 「ついでこんな状況に陥ってんだろうが・・・馬鹿だ馬鹿だと思ってたがお前、ほんッとに馬鹿だったんだな」 「馬鹿じゃないやい」 「馬鹿じゃなきゃ大馬鹿だ。」 「ぶ~」 「きもいからやめろ。それでそのウィルスってやつはどういったものなんだ」 「H.A.N.T.に登録されたデータが改竄されちゃうみたいだね。具体的には所持金の減少、装備品その他全ての所持品喪失、スキルの無効化、一部H.A.N.T.システムに干渉・機能の妨害、登録ハンターの身体能力低下、遺跡内部データの初期化、登録バディの感情値に異常・・・」 「最後の感情値がどうのってのがこの騒ぎの原因か・・・」 「みたいです」 「・・・でいつ戻るんだ」 「ウィルスだからワクチンプログラムを入れればすぐなんだけど・・・」 「けど・・・なんだよ」 「俺やり方わかんないッ!テヘッ♪」 「はあッ!?わかんないって、これはお前の商売道具だろうがッ」 「う~ん、実は俺って機械を扱うのがほんのすこーし苦手というか・・・」 「つまり機械音痴ってわけか・・・どうりで今までメール送っても一度も返事が来なかったわけだ」 「機械音痴じゃなくて苦手なだけ!」 「どっちも同じだろうが」 「違う!・・・まぁそんなわけでワクチンの投入は無理だけど幸い一日経てば自然消滅するウィルスみたいだからこのまま待ってれば問題ないわけだ」 「問題大アリだろうが・・・」 「面目次第もございません」 「それにしても、一体なんだってこんなもん使う気になったんだ?面白そうってだけじゃこんなやばそうなもの使わないだろう。以外と用心深い誰かの仕業とは思えんな」 「用心深い?俺が?」 「お前って石橋を叩き割っても先には進まないタイプだろ?」 「・・・なんで?」 「お前の行動見てりゃ一目瞭然だ」 「俺そんなこと言われたの義父以外で生まれて初めてだよ」 「そうなのか?」 「うん・・・よくわかったな皆守。さすが洞察+15もあるだけあるな~」 「褒めても何も出ないからな」 「ちぇっ残念~・・・」 「お前なぁ・・・」 「でも・・・」 「あ?」 「・・・本当はさ、この性格のせいで『お前はハンターに向いてない』って言われたことがあってさ。ショックで訓練とかサボってた時期とかあったんだよ。まぁ結局は諦めきれなくて見た目だけでもごまかしてハンターになったんだけどな」 「性格なんてそう変えられるもんじゃないだろう」 「でも皆守以外は見事騙くらかせてたんだぜ?だからちょっと、いやかなり驚きかも」 「騙くらかすってなぁ・・・まぁハンターなんてやつらは腐るほどいるんだろ?だったらお前みたいな変わり種が一人くらいいたっていいんじゃないか」 「・・・ねぇ皆守ホントに今正気?」 「・・・よっぽど一人でここにいたいらしいなお前は?」 「うわぁ~!待って!置いてっちゃいや~ん!」 「離せ馬鹿ッ」 「悪かった!俺が悪かったから一人にしないで!」 「・・・ふん」 「ふぅ・・・でも真面目な話皆守は平気なのか?」 「なにがだ」 「だってほかのみんなはウィルスの影響バッチリ受けて俺大好き~になっちゃってんのに。生徒会の連中でさえあの様だぜ?」 「ふん・・・生憎と俺にはこれっぽっちも影響はないな」 「ふ~ん・・・」 「なんだその面白くなさそうな顔は」 「いや~ドライでクールな皆守さんが俺ラブになったらどうなんのかな~って思っただけですよ?」 「・・・そんなに襲われるのが好きなのかお前は」 「単なる好奇心だから深く考えないでよ・・・それにほかのみんなだってウィルスの影響でああなってるだけだし、実際ホントに好かれてるかどうかもわかんないしな~」 「はぁ?あれだけ心酔されてんのにか?」 「もちろんみんなのことは大好きだし信頼してるよ?でもときどき怖くなるんだ。この墓から解放されたことがみんなが俺を慕ってくれる理由なら、別に俺じゃなくてもよかったんじゃないかって」 「・・・お前それ八千穂の前でいってみる勇気あるか?」 「皆守!俺を殺す気か!?」 「わかってんならくだらないことを考えるな」 「皆守・・・」 「ただの転校生なら今まで山ほどいたさ。だがそいつらにはできなかった事をお前は成し遂げてきた。少しは誇ってもいいんじゃないか?」 「皆守が皆守じゃないようなこと言ってる!?」 「茶化すな」 「うん・・・ありがとな皆守。俺お前と友達になれてよかった」 「九ちゃん・・・」 「うん・・・って九ちゃん!?」 「九ちゃん・・・お前というやつはッ」 (がばっ) 「うわぁッ!?み、皆守ッ!正気に戻れ!?」 「俺はいたって正常だ」 「どこがどう正常なんだよ!?」 「九ちゃん・・・」 「うひゃっ!?」 「九ちゃん・・・。もっと早くお前と出会えていたら、俺は―――。お前の歩んできた道を、誰より近くでいつも見ていたのは俺だ。例え何が起こっても、俺はお前と過ごしたこの三ヶ月を忘れない。お前がいたから・・・、今の俺がある。だから、お前も忘れるな。俺が、ここでお前と共に在った事を。忘れるなよ、九ちゃん。・・・・・・。」 「三ヶ月って・・・俺とお前がで会ってからまだ一ヶ月たってないだろうが!」 「愛に時間は関係ない」 「関係ないのかよッ・・・って愛!?」 「今夜は―――長い夜になりそうだな・・・。」 「ってちょっと皆守!?ま、まじでやばいって!」 「皆守?そうじゃないだろう、九ちゃん―――」 「(この状況で甲太郎なんて呼ぼうもんなら俺は確実に喰われるッ!)み・・・皆守?」 「九・ちゃ・ん!?」 「ひぎゃぁぁぁぁぁぁっ!?」 その後、彼等の姿を見たものは誰もいなかった・・・・・・ (終わり) |