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真・山猫騒動記 第1話
ヤマネコの逆襲



「ダサい」
「あ?」
赤いバンダナの少年は不機嫌そうに眉根を寄せて足早にその店を飛び出した。
「おい!セルジュ!待てっ!」
慌てて少年を追う金の髪の少女は機敏な動きで追いつくと、さっと少年の前に立ちふさがる。
「どけよ」
道をふさがれて、なお不機嫌になったらしい少年から低い声が漏れる。対して少女は平然と腰に手を当てて少年を見据える。
「どかねぇよ。・・お前何考えてんだ?今更流行にでも目覚めたのか?」
少年は不遜気に腕を組み彼女をバカにしたように見つめる。
「これで何件目だと思ってるんだ?」
「3件目」
「だぁぁー!!今ので4件目だぜ!」
彼女は高く結い上げたおさげの頭をがりがりと掻きむしると、機関銃のごとく愚痴をたらたらのべはじめた。
つまりはこうである。
『セルジュ』と呼ばれた赤いバンダナの少年は何が目的かどんなのが好みなのかも言わないで、テルミナの街の洋服屋を片っ端から入り、何かしらの文句を付けて外へ出る、を繰り返しているという訳である。
それにつきあわされる彼女は溜まったものではない。
足は疲れてくるわ。元々服装に関してはアバウトなだけにめったに行かないその店に入ると、疲れを感じ、おまけに店の応対が同行の少年の一言でかなり悪くなり、居づらいわ、気分がわるいわで、我慢も限界とばかりに文句を言っているらしい。
「それがどうした?」
炎のような眼をして自身も疲れとストレスのあまりに燃えてしまっているキッドを目の前に『セルジュ』は平然と聞き返した。
「なっ・・!!聞けよ!」
「そんなに目の前でうるさく話されたら無視もできん、聞いている」
「じゃ・・」
「だから、それがどうした?と聞き返したんだろう?」
「・・・お前・・」
今度は彼女が言葉に詰まり、黙りこくる。そんなキッドを哀れむかのようにちらりと、視線を投げると、
「私はこの格好がイヤなんだ。趣味に合わない。だから着替えを探しているだけだ。」と言い捨てる。
「・・はぁ?」
「ふん、お前はそこで待ってるんだな」
キッドの横をすり抜けると、先程の洋服屋の斜め前の店に向かい歩き出した。
その後姿をあっけにとられて見ているキッドは「そんじゃその格好は誰の趣味・・?」と呟いた。
赤いバンダナ、青のハーフパンツに上半身は漁師ルックに赤い靴下。
別にそれほど趣味が悪いとは思わないが、都会テルミナでは幾分浮く。つまり田舎者な感じのする格好ということだ。
だけど、本人は気にするわけでもなく、今まで同じ服装で過ごしてきたのに。
何故今更?
「あれ・・?」
ふと横切ったのはとても大きな「違和感」。セルジュなのに、セルジュらしくないような・・。
あの背中は、知らない。
・・・・アレハチガウ
「・・・っつ。頭が痛い・・。」
頭が割れるように痛い。警鐘が鳴る。痛みにふらつく。
「何なんだ・・一体」
彼女は痛む額を押さえながら、その場にうずくまった。

「イモ」
「はい?お、お客様ぁ?」
一方目指した店に入り込み服を物色していた『セルジュ』は、近づいてきた若い店員に無愛想な一言を投げつけると、さっさとその場を立ち去った。
(まったくろくな品がないな)
『セルジュ』はふと歩みを止めた。ショウウィンドウの前。ガラスに写る自分の姿を無言で睨み付ける。
「・・・・ださい・・」
確かにこの格好はセルジュによく似合っていた。が、『自分』の表情には似つかわしくない。
外見はセルジュと呼ばれる者だろうが、中身は違う。
『ヤマネコ』と呼ばれていた。
つい先日までは。
だが、今は違う。長い間待ち望んだ体を手に入れた。
これでもう追いかけられることも、覗かれることも、悩まされることもない。
「ふっ」
『ヤマネコ』、いや後に”ダークセルジュ”と呼ばれる彼はガラスに映る自分が「ニヤリ」と微笑んでいるのを見て、思い出した。
「そういえば、ヤマネコの服はあの店でオーダーしたのだったな」

「セルジュー!どこ行きやがった!」
キッドは頭痛が治まったとたん、セルジュを探して走りまわっていた。
息を乱して必死に探す。彼女が一生懸命になる理由は『自分ばかり物を買いやがって』という事のみだ。
あの後、いつまでも答えのでない違和感に短気な彼女は保留という決断で考えを中断させ、頭痛が治ったところで何か食べて待ってようか、と思ったところ・・・気づいたのであった。
お金は彼がすべて持っていると言うことに。
パーティの財産はリーダーとなる者が持つ。ゲームでは何故かお約束事項だがキッドには何の意味もない。
ただ、独り占めされた!という怒りしか今はないらしい。
見つけたら、蛇骨バーなる飲み屋で奴に払わせよう、と決意するのであった。

「ほぉ・・・さすがだな」
一方ダークセルジュはテルミナの繁華街のはずれ、高級な店が立ち並ぶ通りにある服屋にいた。彼が手にしているのは骸骨のマークが入っている帽子で、彼はそれがお気に召したようである。その帽子に合わせて服を選んでいく。
髪の色よりも濃い蒼に近い黒、今まで来ていた服を無造作に脱ぎ捨て、試着室の中鏡に映る自分の姿にため息を付いた。
田舎っぽさの欠片もない。
今の服装から受けるイメージは中身によく似合い、また外見にも似合っていた。
今まで来ていた服により明るい感じのしていただけに、ダークで怪しげな印象を醸し出している。
彼は試着室の中で片手を上げた。その手に愛鎌が出現する。彼は一瞬耳を澄まし、店員の気配を伺った。
この店は他の店とは違い店員はお客に干渉してこない。目の前でへこへこゴマをすられるよりも、こういう店がうっとおしくなくて好きだ、おまけに服のセンスも良い。
ダークセルジュは戦闘中に取るポーズをしてみた。
(・・・かっこいいな)
実は内心、心配していたのだ。
セルジュがどう育っていくのかが。
・・・・幼い頃のセルジュは見たが、大人になるにつれ顎髭だの贅肉だのついていたらどうしよう?と。もし自分のお目がねに叶う容姿ではなかったら、体を乗っ取るなどどいうことは絶対にしなかっただろう。
その時は洗脳でも施して連れていけば良い。
だが、予想したほどわるくわない容姿に、さる事情も相まって、体を取り替えた。
今の自分はヤマネコ・・・猫の亜人ではない。
セルジュがこの世界にやってきたとたん、決めた。体を取り替えようと。
あの頃は毎日不眠症で、精神的にも疲労していた。セルジュは意外と手強く、さらってくることも出来なかったので、恐怖の蛇骨館を脱出して古龍の砦に陣取り、セルジュがたどり着く日を待ち続けた。わざわざ、用もないのに四天王に仕事を作らせ、常に自分からは引き離していたが、やはり恐怖は治まらなかった。
待ち続けた。祈るのは「セルジュ」の無事な姿。
そしてようやく目の前に現れたとき、自分は密かに歓喜していた。確かに目的に一歩近づいたのだが、本当の理由はあの身体からおさらばできる、という事だということはさすがの蛇骨大佐も気づくわけがないだろう。
ふと鎌を持つ手を見た。亜人ではなく、人間のまだ少年の手。
猫ではない・・。
鏡の中の自分がはればれとした笑顔になった。しかしセルジュという少年の笑顔ではなく、どこか怪しげな笑顔。
「おい」
彼は鎌を空中に消し去ると、試着室から出た。その自分に気づいて店の店員が心得たように近づく。
「この服と帽子を貰おう。気に入った」
「毎度ありがとうございます。よくお似合いですよ」
「ふん、当然だ。で?」
「はい。6000Gのお買いあげになります」
「・・・高いな」
「それだけ良い素材を使っておりますので」
「まぁ、いい」
彼は懐から6000G取り出すと、手渡した。
満足のいく買い物だったらしく、機嫌がいい。上機嫌のまま彼はその場を後にしようとした。
「お、お客様」
「なんだ」
「お洋服をお忘れでございます」
紙袋に入れきれいに畳まれているらしいセルジュの服が見える。
「捨ててくれ」
「それは困ります。処分なさるなら、100G頂かなければなりません」
「・・・いや、いい。かせ」
100Gもたかだか服を捨てるだけに取られるとは、やってられない。100G払うくらいなら、自分でその辺に捨て去った方がましだ。
彼は店員から紙袋を受け取ると、幾分不機嫌になりながら外へ出た。

「せ、セルジュ!!!」
外へ出たとたん声が掛かる。振り返らなくてもわかる、キッドだ。
「何だ?お前。妙な格好しやがって」
「ーーーーーーーー(もう一度刺してやろうか)」
「なんだ?このどくろ・・あはははは!!か、可愛いなー!それ!あはははは!!!」
「・・・・・」
この禍々しい骸骨を『可愛い』と表す奴は世界中でもこのがさつな女だけであろう。
「それによ、なんか・・・何かに似てるよな」
「・・・キッド」
「あ!わかった!!ゴキブリだ!ゴキブリ!!!」
「・・・・・(殺す)」
そう言えばこの女は『ヤマネコ』にも出会い頭に言っていた気がする。
 
『ヤマネコ!このゴキブリ猫男!今度こそ年貢の納め時だぜ!』

(お、思い出した・・)
だが、ここで彼女を殺したら生かしてわざわざ暗示までかけた意味がない。
(しかし・・・・・腹が立つな)
彼は持っていた紙袋を彼女に向かって投げつけた。ささやかな仕返しに。
「わっ!な、何しやがる!」
「ふん」
「くー可愛くねぇ野郎だな。それに何だ・・お前の服じゃネェか」
「いらない、捨てろ」
「はぁ?何で俺が・・」
「捨てろ」
「ちっ、そのくらいで怒るんじゃネェよ、ったく」
本人は怒りと不機嫌さを隠しているのだろうが、端から見ればわかりすぎる単純な『セルジュ』にここ最近感じていた違和感が消し飛んだ。よく見れば似合っている。
少年っぽさが抜けたというのだろうか。
赤いバンダナに比べると帽子が黒い分、髪の色は闇色に近いように錯覚してしまいそうだ。長目の前髪に覗く瞳は光の具合で赤紫や蒼に見える。
(な、何考えてるんだ、俺)
キッドは自分が見とれていたことに気づくと顔を赤らめた。
「あ・・・えーと、その服いくらしたんだ?」
話題が無くて彼女はそう切り出した。
「6000Gだが」
「ろ、6000G?!」
その言葉に夢から覚めたように驚いた。6000Gの服!
「お前・・・バカか!?」
「バカ?」
「6000Gって、普通服なんぞに払うかよ!」
「私の金だ。ほっとけ」
「!何がお前の金だ!俺達の金だろう!」
「俺達?何を言っている。この金は自腹だ」
「は?」
「お前が言う仲間と共有の金には手を付けてない」
(ーーそもそも、つい先日『仲間』になったのだから、6000Gもないがな)

「・・・お前、金持ってたのか?」
(てっきりへそくり200Gが全財産の貧乏っちぃ田舎者だと思ってたぜ)

「・・それとも何か?”お前のものは俺のもの”とか言う考えか?」
(この女、200Gを後生大事にベットの下に隠してる貧乏小僧と間違えてやがる!まぁ、そう仕向けたのは私だが。いささかむかつくな)

「はん、俺様をなめるなよ!」
(まぁちょっとは思ってたけどよ)

「ーー言って置くが、私の金は私のものだからな」
(・・・油断できないな。なんせラジカル妄想家?とかいう名前のネズミだからな)

「しっかしずいぶん蓄えてたんだな」
(6000Gの服をあっさり買えるなんざ・・一体どこのお坊ちゃんだ?こいつ)

「ーーーーーーー苦労したからな・・」
(何せ、元々は無一文の男だったからな。何でもやったな・・・・・ほろり)

「まさかお前・・実は・・・」
(俺の同業者か?!)

「・・・なんだ?」
(まさかばれたわけではないだろうな。暗示は効いてるだろうが・・)

「いや、何でもない。そんな分けないよな」
(こいつ育ちがいいし)

「ふん。文句はもうないな?」
(・・油断出来ないな。もしや『ヤマネコ』だとばれてるのか・・?それとも、金に目を付けたか・・)

「あぁ」
(いつも貧乏小市民だと思ってたからな、まさか金持ちとは・・あぁ!血がうずくぜ・・すっとすっちまおうかな・・)

二人は表面上は朗らかに笑った。が、心の中ではひっそりとボス戦の曲が流れてそうな雰囲気にお互いが気づいていなかった。

「あ!ヤマネコ様〜!」

朗らかに笑い合っている不気味な二人を遠巻きに周りは関心なさそうに装いながら実は興味津々に見守っているという観衆の間から声が聞こえた。と瞬間、二人の目の前の何もない空中から道化師の格好をした少女が現れた。
「ツクヨミ、何故ここに?」
「てめーは・・蛇骨館で会ったキチガイ女!」
「うぅるさいなー!キッドは黙っててよ!・・・ヤマネコ・・・ううん、”セルジュ”に会いに来たんだよ」
「てめーセルジュとヤマネコのゴキブリ猫男と間違えるなよな!」
「!ヤマネコ様をバカにするな!月までぶっ飛ばすよ!」
「お前俺様の名セリフを盗るな!はん!返り討ちにしてやるぜ!」
「うるさい!」
「せ、セルジュ」
「ヤマ・・・・”セルジュ”」
「ツクヨミ、話がある。ちょっとこっちへ来い」
彼は腰に手を当てため息を盛大に付くと、ツクヨミに視線を送って歩き出した。
「待ってよ、”セルジュ”!」
ツクヨミが追いかける、その途中で置いてけぼりをくらって不機嫌そうなキッドに意地悪そうな笑みを見せる。
「うがー!!!!」
一人残された少女の雄叫びが広場に広がった。観衆は「三角関係」のもつれの末、道化師の女の子に軍配が上がったようだ、と思ったらしい。

「それで?今更何用だ?」
「さすが”セルジュ”だね。何でもお見通しってわけなんだ」
「・・・”ヤマネコ”が自力であの世界を脱出したらしいな」
「うん。さすがあたいの”ヤマネコ”様だよ」
「御託はいい、お前は”ヤマネコ”の味方なのだろう?何をしに来た?」
「・・・・未来に立ちふさがる壁を破壊しに、だったらどうする?」
腰に手を当ててツクヨミはいたずらっぽく笑う。
「戯れ言を」
「さすがだね、”セルジュ”。あたいはただ顔を見に来ただけだよ」
「ふん、”ヤマネコ”に愛想をつかされたか」
「そうなんだよ、”セルジュ”。ヤマネコ様冷たくてさー、あたいより雑巾婆が良いらしくて一緒に連れていってくれないんだ」
「・・・ほう?」
腕を組んでまるで遠くを見るような眼をした。
この世界(アナザーワールド)では「千里眼」に近い”セルジュ”が遠くの風景を見るときの癖。
それは”ヤマネコ”でも”セルジュ”でも変わらないらしい。
「変わらないね、”セルジュ”。で?何が見える?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「長い沈黙だね」
彼は傍目から見ていてもわかるくらい顔色を変えた。普段そういった事を悟らせない彼らしからぬ仕草だった。
いや、以前から一つだけ、完璧に身につけた『仮面』が剥がれる事があった。
それは・・
「今頃はあのハゲ大佐のうるさいとりまきと合流した所だね」
あたいが会いに来れた理由もわかるでしょ?と彼女は微かに笑った。
「・・・うっ・・えぇ」
「は?」
「うっ・・・おえぇ・・・」
顔色が紙のように青くなったかと思った瞬間、ダークセルジュは口元を抑えてその場にしゃがみ込んだ。
から嘔吐を繰り返している。
「や、ヤマネコ様!!!」
これにはさすがのツクヨミも驚いたらしく、慌ててその背を撫でさする。
弱点など白エレメントととあるモノ以外ないに等しい彼をここまで苦しめるものは・・・ただ一つ。
それだけ『精神的後遺症』が重かったのだろうか、とツクヨミは思った。今はこの醜態を周囲から隠さなくては、と背をさすりながら自分の身体を盾にした。
まるで酔っぱらいのように、うえうえ言っている彼はそれでも『遠目』をやめていないらしく、俯いて涙のにじむ眼は遠くを見ていた。
「・・・の・・れぇ・・」
「え?何?」
彼は微かにあえぐように低くしゃがれた声を押し出した。
「・・・コ・・ロス」
「殺す・・ってヤマネコ様!!」
「うっ・・」
暗転。しばらくお待ちください。

「はい、お水」
「・・・・すまない」
「ーーあたい、ヤマネコ様が心から謝ってるの、初めて見たかも」
「・・・私はこういう事はちゃんとしてないと許せないんだ」
渡された冷えた水をゆっくり口に運ぶ。すでに汚れた口元などはきれいにしており、顔色は幾分悪いが平素どうりの彼を取り戻していた。
「意外と几帳面なんだね・・」
「悪いか?」
「(可愛いって思うけど言ったら後が怖いしな)それより・・その・・えーと」
「ーー何が見えたかだと!?」
「(な、何でわかるのさ!)うん・・」
どうやらその話題には触れない方が良かったらしく、彼は又ハンカチを口元に当て眉をよせた。
「・・・・・・ツクヨミ」
「は、はい?」
「・・・奴らは今この街にいる。お前も知ってるだろうが・・」
「うん・・そうだけど」
「”ヤマネコ”は別にどうでも良い・・今はまだ、な」
気のせいか”ヤマネコ”と言った瞬間わずかに、まるで兄弟を思うかのように懐かしそうに眼が細められた。
「問題は・・・奴だ、やはり殺して置くべきらしい」
声に剣呑な雰囲気をたたえ、全身からは殺意と憎しみがほとばしっているかのように、空気が変わった。
彼が”見た”のは、蛇骨バーの隠し部屋にいた”ヤマネコ”達とそれを待っていたハゲ・・・じゃない、蛇骨大佐のアカシア騎士団四天王(マイナス一)のカーシュと奴ことゾアであった。
狭い部屋の中の会話は聞こえなかったが、カーシュと眼がねの小僧が言い合いをしていて、その二人を止めようとした”ヤマネコ”の帽子が邪険に振り払おうとしたカーシュの手で飛ばされた。
問題はその後。
じっと・・・仮面の下から熱い視線を送っていた”奴”が、瞬間眼の色を変えた。奇声を上げ”ヤマネコ”に突進し、そして・・・。
あの姿を見た瞬間から吐き気はあったのだが、その行為を「傍目」から眺めると・・・・憎しみのあまりに醜態をさらしてしまった。
そして被害者である”ヤマネコ”に感じたのは深い同情の心。
”ヤマネコ”が可哀そすぎて、不憫すぎて、哀れすぎて。
この世の中でその気持ちが分かるのは自分と被害者友の会(猫達)のメンバーくらいであろう。
陥れ、その身体を交換したのは自分だというのに、同情の念は強い。
他の事に関してはどうでもいいが、これに関しては力すら貸してやっても良いと心から思うくらいである。
「ヤマネコ様・・」
「・・・セルジュは奴を選ばなかったな、まぁ当然だが。・・今は一人だ・・」
しかも暴れるゾアに、助けを求める被害者を助けるべく、白い髭のハゲ・・もとい老人と、カーシュの二人で「フリーズ」を使い、今だに効果は切れず・・奴はその場に一人奇妙で不気味なオブジェクトとして立ったままだ。
今ならば、殺れる。
「くくくく・・・・、いくぞ!ツクヨミ!」
長い間『ストーカー』に悩まされた女子大生もとい、『ヤマネコ』の復讐劇が幕を開けた。

<続く?>



後書き

このシリーズ、「真・山猫騒動記」と題がついてますが、表が「ヤマネコ騒動記」ならこれはその裏話ということです。主人公は元祖ヤマネコ様ことダークセルジュ(笑)
私が書くと冷徹さも何も合ったもんじゃないですね・・ニセなのでしょう(笑)
で、表のヤマネコ騒動記と裏のこのシリーズ。ゲーム本編と同じようにセルジュとDセルジュが出会うシーンでは、話が重なります。いやぁ、どうなるんでしょうねぇ〜・・・書くの俺ジャン(笑)
宿敵ゾア・・・騒動記を書き始めてから、ゲームやると笑いが止まらないのですが・・。戦闘中も思わずメンバー入り、セルジュの後ろをひた走る彼の姿を見ていると、ネタが浮かぶ・・(笑)私的にはいい加減引っ張りたくないのですが・・・(汗)
続きますが、読みたい人はいるのだろうか(笑)


【感想切望中(拍手)


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