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〜バディと一緒シリーズ〜
椎名リカ編

「ようこそいらっしゃいました。九サマ〜」
「お招きありがとう、椎名」
リカがフリルのレースの裾をつまんで優雅にお辞儀をすると、九サマも優雅に返してくださいました。ふふふ・・・、とっても素敵ですゥ。リカを救ってくれた王子サマ・・・葉佩九龍クン。彼は、漆黒の闇夜を思い浮かばせる真っすぐな黒髪と、ぬばたまの輝きの瞳を持ったお方ですゥ。
リカの宝物を取り戻してくれた、大事な大事な人・・・九サマ。今日は理科室で九サマを招いての二人っきりのお茶会ですのォ。さっそく九サマに、リカのとっておきのハーブティーを入れて差し上げますわ。


「ん〜〜〜ッうまいッ!」
「ふふふッ、喜んでもらえて光栄ですゥ」
九サマは心底嬉しそうなお顔で、リカの作ったお菓子を召し上がって下さいましたのォ。そのお顔は、本当にリカが照れてしまいそうなくらい嬉しそう・・・。あぁ、リカとっても幸せですわ。
「クスクス・・・」
「ん?どうしたの椎名。俺の顔に何かついてる?」
まァ、リカったら、嬉しそうな九サマを見ているのが楽しくて、つい笑ってしまいましたわ。ゴメンナサイ九サマ。いきなり笑われたらイヤですわよね・・・。
「なんでもありませんの。九サマがおいしそうに食べてくださるから、リカとっても嬉しかっただけですゥ」
「だってめちゃめちゃおいしいよ、コレ。こっちのやつなんかどうやって作ってあるんだろ?」
「えぇ、それはですのね・・・」
「ふむふむ・・・」
ふふふッ、そんなに褒めていただくと、なんだか照れてしまいますゥ。せっかくですから、作り方をお教えしますわね。九サマはお料理もとってもお上手だから、きっとすぐ作れるようになりますゥ。ふふふッ、いつかリカにも食べさせて下さいですのォ。
こうして九サマと二人きりで過ごすひととき・・・。あぁ、この時がずっと続けばいいのに・・・。
でも、九サマは時々とってもイジワルなことをおっしゃいますのォ。
「俺一人で味わってんのもったいないかも・・・。そうだ!みんなも呼んでみたらどうかな」
・・・・・・・・・リカは、リカは九サマと二人で過ごすこの時間が大切ですのォ。でも九サマはやっぱり、リカといるより、いつも一緒にいる皆守クン達と過ごす方が楽しいんですゥ・・・。
「・・・・・・」
「し、椎名?」
九サマの誰とでも仲良くなってしまうところはとってもすごいことだと思いますけどォ、たまにはリカだけを見つめてほしいと望むのはイケないことですのォ・・・?
「あ〜・・・、や、やっぱりみんな呼ぶのや〜めたッ」
「・・・え?」
リカの悲しい顔を見られてしまいましたの?九サマは立ち上がると、リカの方にいらっしゃいましたのォ。そしてリカの顔を覗き込むようになさって・・・。
「なぁ、椎名」
「・・・九サマ?」
「みんなには悪いけど、せっかく椎名が俺のために作ってくれたんだから、二人で食べちゃおっか?」
「え・・・、いいんですのォ?」
九サマはみんなと一緒のときが一番楽しそうなんですゥ。それを、リカと二人でなんて本当にいいんですのォ?
「へへへッ!独り占め」
「あ・・・」
リカの不安を吹き飛ばすかのような笑顔で、九サマは次々とお菓子を召し上がってくださいました。・・・・・・リカ、とっても嬉しいですのォ。

九サマは結局リカの作ったお菓子を全部食べてくださいましたのォ。かなりの量でしたのにすごいですわァ。
リカがお茶のお代わりを注いでいると、九サマがこうおっしゃいました。
「・・・おいしいはずだよな」
「え?」
「いや、椎名の作ってくれたお菓子。これみんな俺の好みに合わせて作ってくれたんでしょ?」
「ッ!」
・・・驚きましたわァ。九サマのお料理の腕は存じていましたけど、そこまで細かく味わって下さっていたなんて。
「・・・わかりますのォ?」
「もっちろん!これとか普通だったらもっと甘いはずだしね。それにほら・・・」
「あ・・・」
すると、九サマはリカの方に手を延ばして、リカの目元を優しく撫でてくださいましのォ。リカよりも少しだけ大きな九サマの手・・・、とっても暖かですゥ・・・。
「椎名目が赤いし。俺のために遅くまで頑張ってくれたんだろ?・・・ありがとな」
そう言って、にっこりと笑みを浮かべてくださった九サマ。あぁ、それだけでリカは天にも昇れそうですゥ・・・。
「・・・リカは九サマが喜んで下さるなら、幸せですゥ」
本当ですのよ?九サマ。リカはそれだけで、胸の中が暖かなものでいっぱいになるんですのォ。だから、たまにはこうやってリカだけを見つめて下さいましね?・・・約束ですゥ、九サマ。




―翌日・男子寮―
「・・・・・・ほれ、これはどう?」
「・・・・・・うまい」
「だろ〜?へへへー、やっぱり椎名に作り方聞いといてよかったな〜。俺お菓子作りってあんまり得意じゃないし」
「・・・得意じゃないのになんでわざわざ習いにまで行ったんだ?」
「依頼でオレスコや杏仁豆腐作れってのとか、いろいろ増えたからさ。だから一度本格的に習っときたくってさァ。・・・あァ、こっちのスパイス入りのやつなんか皆守の好みなんじゃないか?」
「・・・・・・あぁ」
「よっしゃッ!!」
「・・・・・」
「・・・それにしても椎名っていい子だよなぁ〜」
「あ?」
「だって、こんなおいしいものご馳走してくれるし、作り方まで熱心に教えてくれるし」
「・・・・・・」
「こないだなんかはさ、つい遊びに走っちゃいそうな俺を、諌めてくれたし。あんないい子なかなかいないよな〜。よし、今度御礼しなきゃなッ」
「・・・・・・お前、それは」
「ん〜?」
「・・・なんでもない(この鈍感め)」
「?」


―――――リカ・・・負けませんのォッ!!


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